うさぎドロップ

今期のみならず今年最高峰のアニメであり、ノイタミナ史上最高傑作。
冬にまどかマギカがなかったら今年1番面白かったと言える。
欠点が何一つ見当たらずほぼ毎回ほっこりさせられ偶に泣かされ。作画演出音楽キャストと全てがハマってたのはもう奇跡としか。

うさぎドロップ 【初回限定生産版】 Blu-ray 第1巻うさぎドロップ 【初回限定生産版】 Blu-ray 第1巻
(2011/10/28)
土田大、松浦愛弓 他

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最終回といいつつ過剰なことはせずにいつもどおりの雰囲気を保ったまましっかりと締めてくれた。コウキママが風邪を引いて大吉とりんが家事手伝いをする話が中心かと思いきや意外とすぐにコウキママの風邪が治った。母は強し。

その後子供達の縄跳び大会に向けての練習が始まる。りんやコウキは大吉に縄跳びのコツを教えてもらい、りんは縄跳び大会の後飛びで203回という記録を出して優勝し賞をもらう。ていうか203回って凄くないか。おれそんなに飛べる気がしないぞ。
あと大吉が予想以上に縄跳び上手くてアレだったがなんか納得した。コウキもその内あんな風になるのかね。

前回から話題にはあった、りんの歯は今回でついに抜ける。大吉のお母さんが物凄くりんのことを心配していたのが微笑ましかった。しかし歯を記念にとっておくケースの存在とか知らんかった。今はそんなもんが世に出回っているのか。おれの時は全部外に投げてたわ。

そして今回最も重要だったのは親とそうでない人とのものの考え方の違い。コウキママ、さやかパパたちとカズミは恐らく年齢が比較的近いが、子供と自分の時間に対する考え方は全く違う。
カズミは「結婚し子供が生まれることで自分の時間がなくなってしまう」と考えているが、コウキママたちは「子供と一緒に過ごす時間も自分たちの時間」と考えている。親になった時、そう思えるかどうかというのはかなり重要だろう。育児放棄とかああいった事件の根底にある「自分の時間が大切、だから子供にかまってられない」という気持ちは、前述のコウキママたちのような考えを持っていれば絶対に芽生えはしないものだからだ。

大吉は夫でも父親でもない。だからこそ人一倍りんのことを大切に育てているんだろう。りんもそんな大吉の元で良い子に育っている。
今回の最後、りんとの出会いから今までを振り返るシーン。あそこでも出てきた、最初に会ったころのりんとは別人のようだった。最初はぎこちなかった2人の生活も、いつのまにかごく自然なものになっていた。

「おじいちゃん。私ね、大人の歯が生えてきたんだよ」
最初にこのセリフを聞いた時に違和感を感じたのは、おじいちゃんがりんの立場から観ると「お父さん」にあたるからだと気付いたが、結局りんはお父さんをおじいちゃんとして最後まで見てきたんだなーと確認できるワンシーンだった。ちなみにここ、誰の顔もズームで映さない演出が個人的にすきだったりする。

そして最後、りんの歯がまた1つ抜ける。大吉は前歯が2本も抜けたらすごい顔になるんだろうと思っていたが蓋を開けたらネコのような顔だった。というかただの天使だった。

りんの可愛さってのはこう内面から引き出されてるものなんだよな。昨今の萌え・ブヒ系に属する作品のキャラというのは外面的の可愛さを重視しているせいかどうも濃いキャラが多くて胃もたれしてしまう。それに比べりんは外見は勿論、純粋で真面目で少しあどけなさを残した内面的な可愛さも持ち合わせている。

ちなみにコウキママもめちゃくちゃ美人だったが、女手一つで男の子を育てているのにあれだけ綺麗さを保っていられるというのはかなり凄いことなんじゃないだろうか。コウキママみたいな人だったら結婚を考えます。

そしてこのアニメの肝、1番言いたかったことは全部大吉が最後に語ってくれた。
「これからも些細なことで心動かされたりするだろうけれど、子供の笑顔が喜びになるのならそれでもいいんじゃないかと思える」

まあまさにこのアニメが伝えたかったことはこれに尽きるだろう。りんの純真無垢さは大吉の幸せに直結している。独り身だった時よりも生活が充実しているのは間違い無いだろう。個人的には少し羨ましくもあり。

アニメ うさぎドロップ オリジナル・サウンドトラックアニメ うさぎドロップ オリジナル・サウンドトラック
(2011/08/03)
TVサントラ

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結局、このアニメではりんの子供時代しか描かれなかったがこれがベストであったと思う。何気ない日常や取るに足らない出来事まで丹念に描けていて、観てるこちら側まで癒される作品に仕上がっていた。何かとカルマを溜め込む現実の辛さを吹き飛ばしてくれるような力をもった、柔らかくも力強いアニメ。

最初に書いた通り、この作品はノイタミナ至上最高傑作だと信じてやまない。それはこの作品がノイタミナのコンセプトにも合致しており、老若男女あらゆる人が見てもきっと面白いと思えるアニメだから。特に子供を持つ親には是非とも最初から最後まで観てもらいたい。きっと価値観が変わってくるはず。

おれも大吉と同じく夫でも父親でもないが、りんや子を持つ親の逞しさを見てきてだいぶ考え方が変わった。結婚にはやはり及び腰になるけれど子供が欲しくなった。でもおれの子ということはおれの遺伝子を受け継いでるわけだからどう考えてもりんのような天使の子供は生まれてこないか。というか現実にりんのような子供はいないだろう。いたら養子にします。

子供という存在は弱いとみなされがちだが、実際はおれたちが思っている以上に力強く、そして思っている以上に早く成長していく。りんもまた時間が経つにつれ背も伸び顔も大人びていくんだろう。大吉はそれをどう受け止め、りんと接していくのか。そこら辺は漫画のほうを読んで確認してみることにする。

うさぎドロップ (1) (FC (380))うさぎドロップ (1) (FC (380))
(2006/05/19)
宇仁田 ゆみ

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兎にも角にもこんな素晴らしい作品に出会えたのだからやはり生きてて損はないなあと思ったのであった。
随所に光る演出、柔らかく温かみのある作画、優しく力強い音楽に、もはや天才としか言いようのないりんの中の子の演技(この子が将来声優になったら天下取れる気がする)。どれをとっても文句の付けようのないアニメ。

スタッフ・キャストの皆さんお疲れ様でした。BD買うので出来れば2期もお願いします。