圧倒的構成力とOPの伏線が次々紐解かれていく衝撃と真砂子の最後によってもうライフが限界に近い。円盤予約しなかったことをとてつもなく後悔している。真砂子さんに泣かされる日が来ようとは誰も思うまいて。
この作品の最大最重要の謎である「ピングドラム」は呪いである可能性が出てきた。陽鞠の死を受け入れられなかった冠葉と晶馬が生み出してしまったもので、死を受け入れられないものに対する呪いとしてのピングドラム。そりゃ見つかるわけないわな。自分たちから目を逸らしてるんだから。
またこの作中の人物はみな一方通行の思いを持っていて、与えることはあっても与えられることはないため、多蕗が言ったように「愛に飢えた」状態になる。飢える→飢餓→KIGA→ペンギン、となってペンギンは登場人物たちの想いの代弁者であった、と考えるとまたペンギンたちを見る目も変わってくるな。
Aパートの司令室におけるペンギン1号と3号のやりとりは間接的に冠葉と陽鞠のやり取りを表していた。3号は自分を捧げることで1号の気を引こうとしているが、あとに引けない1号は全てを焼き尽くし先へ進む。１号が読んでたのは漱石の『こゝろ』だろうか。登場人物の関係性は冠葉・晶馬・陽毬の関係に似ている所があるかもしれない。
ダブルHが陽鞠にわざわざ会いにきてくれたあたりは3人の友情がまだ続いていることが確認できていいな。陽毬がマフラーを送ったのは勿論それに対して会いに来て礼を言うなんてもう皆良い子だ。
でもその陽毬は与えられていた仮初の命を返してしまった。てことはもう死んでしまったということなのかね。サンちゃんも半透明になってたし、これは冠葉の計画実行フラグでは。
冠葉のいた部屋にサネトシの部屋にもあった天球儀があることからも、サネトシがKIGAの会トップで、その部下だった者たちがサネトシの亡霊に従っている（あるいはサネトシの姿を追い求めて行動している）という仮説が真実味を帯びてきた。
そんなサネトシは冠葉に撃たれても死ななかったわけだが、作中でもう一人「死なない男」として描かれていた人間を覚えているだろうか。そうもちろん真砂子、マリオ、そして冠葉の祖父であった男だ。マリオに憑依したことと無関係というわけではさすがに無いはず。
多蕗を刺した犯人が予想できた人は皆無といっていいのでは。その後多蕗は「愛のために死を選べる」ことを悟った。ゆりとやり直すという選択肢も残ってるし、それもありではないかなと。
冠葉と真砂子たちが離れ離れになったのは冠葉の願いだった。昔は真砂子、今は陽毬のために動いている冠葉はこの作品の中で一番「兄」としてわかりやすい存在であったように思う。晶馬は陽毬の印象が強くて兄というよりは救世主的な存在に感じる。ちなみにタイトル「美しい棺」は冠葉が留まることになったあのアパートのことだったように思えたが、KIGAの会という一つの組織そのものを指していたのかもしれない。真砂子の独白だけではそこは推測の域を出ない話ではある。
この作品中における真の妹キャラ真砂子には死んでほしくないんだが最後結局撃たれたのかな。ていうか今回で真砂子の株が上がりすぎてストップ高である。OP映像でも出てた真砂子とエスメラルドの立ち姿は人間的にも映像的にも格好良く美しい。「いやだわ、早くすり潰さないと」がこんな場面で使われる決め台詞になるとは…
↑ここは鳥肌立った
そしてED終わりにまさかの晶馬箱詰め。ペンギン模様はピングループの印なので、晶馬も高倉家の実子ではない可能性が出てきた。でもそうなるとテロの日に生まれたはずの高倉家の子供はどこへいったのかという別の問題が。
物語としてそれはどうなのよ、と言われそうだがおれはやはり全員が救済される終りを望んでしまう。この思いはまどか☆マギカ見てた時のそれに似てて自分でも少し怖い。
