劇場版名探偵コナン 11人目のストライカー

観てきた。
本当は友人が時間空くまで暇だったので時間つぶしに…と思い軽い気持ちで見に行ったのだけど、映画終了後に親父がインフル喰らったとの報告を受け友人宅に行くのを断念し已む無く帰宅。今度供物として選りすぐりのクソゲー持っていきます。


以下、映画について。ネタバレあります。konan_j01.jpg

ひと通り見た感想としては予想以上だった。正直、コナン映画は11作目以降全てクソすぎてもう立て直し無理だろ…と諦めていたんだが、今回で少し見なおした。というか、立て直しのポイントを変えてきた。どういうことかというと、ミステリーからアクション・エンタメへの転向。今までコナンの映画には必ずあったアクションシーン、その分量が今作では8割以上を占めている。


この『11人目のストライカー』、ミステリーものかと尋ねられればはっきりノーと答えられる。ミステリー要素は3%程度しかない。残りはすべて溢れんばかりのエンタメ要素で補われている。もうこれ主人公コナンじゃなくてもいいんじゃね?という話だった。サッカー場の天井を縦横無尽に駆け巡ったり爆発が起きているサッカー場でミラクルシュートしたり…
枚挙に暇がない程の場面で動きまくっていたコナン君であるが、肝心の推理要素はまるでなかった。犯人もすぐにわかる。だいたいコナン映画においては登場回数が不自然に多かったり過去が掘り下げられたりしてる奴が犯人なんだけど今回もその例に漏れず、といったところ。


要するにコナンファン、あるいはミステリファンからしてみれば今回の映画は恐らく駄作以下の評価だと思うんだけど、コナンファンとかじゃなくて普通に「映画」を見に来た人間には概ね満足できる内容に仕上がっていたということで。爆弾によりサッカー場の電光掲示板が客席に落ちてなだれ込んでくるシーンとか凄かった。あと最後のミラクルシュート。単体でもおーすげーとは思うんだけど、その「コナンがシュートする」前に観客席側にいた元太・光彦・歩美・灰原がそれぞれパスをつないで最終的にグラウンドにいるコナンまでボールを渡していくというお膳立てがあることでより奇跡の連続性が強まった。なにげに最初のサッカー教室の伏線回収してるのがにくい。


あとラストで流れるいきものがかりの曲も良かった。今回初めてビーイング系のアーティストではなくソニー系のアーティストを起用したのは何故なのか気になるところだが、映画を見てる時はそれが気にならないくらいには内容と曲が合致していた。2ndで止まってたんだけど久しぶりにいきものがかりの曲聞いてみよう。


とにかくエンタメ性溢れる作品で、子供とかこれ見たらすげえ楽しめるんだろうなあ、と思いながら観てたんだけど、もちろん不満な点もある。


これは劇場版名探偵コナンシリーズの約半分に言えることなんだけど、「爆弾の入手方法」については一応(かなり強引だけど)気配りしてるのに「どうやって爆弾を設置したか」については驚くほどおざなりなのが気になって仕方ない。前回はダムの絶壁部分に仕掛けられてたし、今回はサッカー場の天井から吊るされた電光掲示板の柱に10〜20個近く取り付けられていた。業者じゃねえと無理だろ…と突っ込みたくなるほど凄まじい場所に設置されてて(現に、コナン君は爆弾設置場所にたどり着くのに命かけてる場合が大半)、こういうところからも劇場版の「インパクト重視」というスタンスが窺える。


あとゲスト声優として遠藤保仁氏を始めとした有名どころのサッカー選手が声当ててるんだけど、みんな棒すぎてつらい。いかにDAIGOがマシな方だったか思い知らされた。まあ彼らは演技とかしたことないだろうし、そもそも役者畑の人間でもないので別に責めるつもりはなくて、むしろ彼らをいろんな場面にねじ込んでくる脚本の酷さに物申すべきだろう。しかし最後にコナンがミラクルシュートを決める大一番、回想で遠藤氏の声が流れてきた時申し訳ないが笑ってしまった。なんか脱力する感じの声質なんだよね。名状しがたいんだけど。ちなみに選手の中で一番演技が上手かったのはキング・カズ。さすがだぜ。


まああんまりグダグダ書いてもアレなんで終わりにしますけど、次回作こそはミステリとアクションが絶妙のバランスで混ざり合った傑作を期待します。次回予告見たところによると今度の舞台は海っぽい。確か9作目あたりで豪華客船の話し合ったけど、もうネタ尽きてきたのかな…


こう言うと「老害だー!」と言われそうで躊躇われるんだけど、やっぱり昔、主に3作目〜7作目までの流れは神がかってた。特に『ベイカー・ストリートの亡霊』の出来は脚本・演出・音楽の全てが突出していて、これを超すものは当分作れそうにないな…と放映当時に思ってたら予想通りそれから10年経っても超すどころか劣化の一途を辿っており大分HPも削られた。最近でよかったのはあれだ、12作目のパイプオルガンの話。あ、思い出した、『戦慄の楽譜』だ。あれはまだ良かったね、ミステリとアクションのバランスがとれてて。


とりあえず今回は面白かったです。劇場のスクリーンで見る価値は充分にあると思う。おれの知人友人でまだ観てなくて連れがいない人、誘ってくれたらあともう1回くらいは見に行きますよ。