アクエリオンEVOL

1期のエンドを否定して2期で全てにケリをつける、という理想的な締め方。最終回としては充分に美しい終わり方で、全体を見通しても予想を遥かに上回る作品だったように思える。歪な愛をカグラの力で逆さまに、つまり元に戻すことによって真実の愛を手に入れたミコノとアマタ。あらゆる理論や常識を超越した展開はさすがアクエリオン。愛とは男女のものだけではなく、親愛の情であったりもする。その関係性を象徴していたのがカイエンとシュレードであったが、最後の最後でその役割が不動とミカゲに手渡された形になった。


このアニメは当初、岡田麻里特有の下ネタだったりぶっ飛んだ展開を躊躇なく入れてきたことによりイロモノ枠に押し込められていたが、中盤以降のシリアスな展開や人間の根幹を問うストーリーが真剣味を帯びてきて、そこでようやく「異端な正統派」というステージに移動したように思える。


しかし最初から最後まで一貫してこのアニメでは「愛」というテーマが根底に流れていて、それは上述のように恋愛感情や友情、両親への愛など形を変えつつ確かに存在してきた。EVOLが象徴する歪な愛は意思疎通の不全、あるいは一方通行の思いなど様々な要素を孕みつつ、この世界を救う唯一の存在としてあくまで「希望」を担っていた。


カグラの「逆さま」という能力は最後になってようやく「歪だったものを正す力」つまり正方向のベクトルの力だったことがわかる。それはカグラがあくまでアマタと分離した存在、本当の意味での悪人ではなかったからこそ得られた力であろう。


ミコノの「繋ぐ力」は最後まで人と人を結ぶ力だった。ただしそれはプラス同士だけではなく、マイナスとプラスをも繋ぐ力、あらゆる感情を赦し納め一つに収束する事実上最強レベルの能力だった。それゆえミコノは最後まで思いが揺れていた。悪の元凶ミカゲすら救えるその力を行使すること、アマタから向けられた想いに応えること、どれを選ぶことも出来るからこそ、選択肢が無数にあるからこそ最後まで行動に統一性がなかった。


もちろんその揺れていたミコノの意思を引き寄せたのがアマタであり、その存在自体が今現在のミコノと繋がるためのものだったということが、最後の最後でアマタとカグラ、2人(1人)を通じて伝えられる。飛翔する能力は場所や時間を超越することを示唆しており、ミコノと繋がることに関しては互いの距離は関係ない、という証であった。


ギャグ的な側面が目立つ作品であり実際にそれで楽しませてもらったが、その陰では丹念に張り巡らされた糸を回収し最終的に愛による解決を図った、ある意味理想的といえば理想的すぎる終わり方をした作品だった。挑戦的かつ斬新でありながらものすごくベタで、憎むに憎めず気付いたら惹き込まれている、そんな謎の魅力をもったアニメ、それがアクエリオンEVOL

広告を非表示にする