2012年夏アニメ総括

ようやく見終わった、今期はリアルタイム視聴がほとんどできずに歯がゆい思いをしていたんだが、まあ何というか良い意味でも悪い意味でも「リアルタイムで見てなくてよかった」と思わされる作品が結構あったのでちょっとコメントに困る感じが。でも不作というわけでもないので、「いつもの夏よりは楽しかった」ということでよろしいか。


↓いつもの。

評価方法

・評価ポイントは「ストーリー」「キャラクター性」「演出」「作画」「音楽(OP・ED含む)」の5つ。各10点満点
・総合評価(ランク)は「SSS」「SS」「S」「A」「B」「C」「D」「E」「Z」とする(各説明は以下参照)

「SSS」〜生涯愛せる、墓場まで持って行きたい作品
「SS」〜アニメの金字塔レベルの作品
「S」〜何度観ても面白いと思える名作
「A」〜傑作
「B」〜秀作
「C」〜良作
「D」〜凡作
「E」〜駄作
「Z」〜黒歴史

輪廻のラグランジェ season2

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ストーリー 6
キャラクター 5
演出 7
作画 5
音楽 8
総合得点 31点
総合評価 C

作画とストーリーが終始不安定な作品だった。1期の時よりも主軸がぶれていたように感じたのは鴨川推しが批判されたからだろうか。
創作作品においては別に作中で起きるあらゆる事実に対して理由付けや説明をする必要はないと考えてはいるが、作品の根幹となるものについてはせめて視聴者がすんなり飲み込めるようにしなければ物語に入っていけない。このアニメにおける「輪廻」という事象がまさにそれで、どういったメカニズムで起こっているかはともかく、この輪廻がどんな影響を及ぼすかが実に抽象的で「何かやばいけど世界が滅びるかもしれない」というレベルでしか事態を把握出来ない。
ジャージ部という部活を印象付ける脚本・構成にすることで主要3人に何とかキャラ付けしようとしてる感じがしたけど、個人的にはそんなことをしなくても3人は充分にキャラ立ちしていたように思う。まあそれよりも店のマスターやユリカノや3バカなど、メイン以外のキャラクタのほうが印象に残るようなアニメだったんだけど。
このアニメで一番良かったのはOP・ED含め(ただしジャージ部魂を除く)音楽方面だと思っている。哀愁あるピアノ曲や本格的なエレクトロニカなど多様な楽曲を用いてアニメーションに彩りを与えていた。
鴨川推しすぎだと批判の声も多かったけれど(まあ鴨川という要素を組み込まなくても良かったのは事実だけど)、全部ではないにしろ主要な伏線は回収できていたし、最終回も無難なところに落ち着いていてスッキリとした余韻もあり。脚本と作画さえしっかりしていれば充分良作以上の作品になれたと思う。




人類は衰退しました

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ストーリー 8
キャラクター 9
演出 8
作画 8
音楽 8
総合得点 41点
総合評価 A

「いい最終回だった」という爽快感と「もっと見ていたかった」という寂寥感に同時に襲われる、最後まで毒を含んでいる作品だった。その毒が害を及ぼすものかそうでないかは言うまでもないだろう。
シナリオ構成がすごく不思議なアニメ、という印象が強く残っている。序盤で出てきたYとわたしとの過去話を最後にもってきたり、原作6巻に収録されている話を初回にもってきたりなど。しかしそれが全て成功しているのだから恐ろしい話である。そして最終回がある意味一番衝撃的な話だった。人間の裏の顔を次々暴いていく容赦ないストーリーにわたしとYという悪友の関係、そして最後にわたしと妖精とのお茶会。様々な要素をバランスよく混ぜ合わせた力作だった。某氏が「削るところがないくらいまで磨き上げた」と言ってたが本当にその通りである。
あとはとにかく中原麻衣の近年稀に見るほどのキャラクタとのシンクロ率が素晴らしく、レナよりもこっちの方が後々まで印象に残ってるんだろうなーとぼんやり考えている。「わたし」という明確な名前を与えられていないキャラクタは自己投影もできるしどこまでも客観的に見ることもできる。最近のキャラクタの中ではある意味圧倒的な存在感だった。そして登場人物が少ないこの状況で求められるのはキャラクタを突き動かす力強いストーリーテリングなんだけど、これがもうさすが田中ロミオといった具合で、シニカルな笑いと表には浮かんでこない中毒性、妖精というファンタジーの最たる要素を極めて効果的に活用し逆にリアリティを出す強烈なストーリーで視聴者を惹きつける。



ゆるゆり♪♪

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ストーリー 8
キャラクター 8
演出 7
作画 9
音楽 7
総合得点 39点
総合評価 A

11話が最終回で良かったなーと朧気に思うのであった。だからこのアニメにギャグ方面でのオリジナルは無理だと何度も言ってるのに…
ゆるゆりは日常ギャグアニメなのにその前提である日常を捨て去った状態ではギャグは生まれないわけですよ。ゆるゆりにおいて日常とギャグは不可分であり、ゆるい日常があるからこそギャグが生まれ、ギャグというスパイスがあるからこそ日常のゆるさがより際立つという相互関係にある。これをわかってないからオリジナルは基本的に失敗に終わってしまう。
まあ最終回は散々な結果だったけど路線を意図的に変えてきた11話や6〜9話あたりの鋭いギャグ要素は素直に面白かったし、何より1期より本気出すのが早かったのであんまりダレる感じがしなかったのが大きい。総合的に見れば1期より出来は良くなっている。
特にキャラクタを掘り下げながらコメディを形作るのが非常に上手くなってきていて、原作のテンポをほどよくアニメに昇華しているなーと(4コマ漫画をアニメ化する場合、間と繋ぎが重要になってくるので)。ゆるゆりが目指しているゆるい百合に少しでも近付けようと、キャラ単独ではなくペアで動かすことをメインに考えていたのも成功の要因の一つ。
まあ散々言っているようにこれは決して百合アニメではないのだけど、女子中学生が繰り広げるゆるいギャグ作品としては一級品のアニメだったのでまたストック貯めて(オリジナルを挟む余地が無いくらい)また3期とかやってほしいですね。



超訳百人一首 うた恋い。

うた恋い


ストーリー 7
キャラクター 5
演出 7
作画 6
音楽 6
総合得点 31点
総合評価 C

日本古典文学とかそこらへんを漁っていた人間にとっては取っ付きづらいアニメだったのではないだろうか。かく言う自分もその一人で、タイトルにもある「超訳」というように史実の域を大きく逸脱した、いわゆるオリジナルエピソードがほとんどであること、あとはNHK教育アニメ的なキャラデザも受け入れるのが大変だった要因。
たまに物凄くよく出来たエピソードに遭遇することがあって、実はギャグ回だと思っていた最終回でさえ力業で全13話を包括するような内容に仕立て(定家が式子内親王を通じて和歌の素晴らしさに気付きそれを後世まで伝えようとする)、式子内親王の死をも乗り越えていく前向きな話になっていて、こういうオリジナルであれストーリーがしっかりとしているものについては面白いと評価できる。
ただ各話の始まる前の定家の前説というか小芝居のようなものが本当に要らなさすぎて、あれのせいで梶の声を聞くだけでイラっとするくらいに神経過敏(?)になってしまった。本編の内容とあの小芝居の軽さが全く合っていない。
あとSOUL'D OUTのED曲は、曲自体は別にしてこのアニメのEDとして致命的に噛み合っていない。アニメ本編を見終わった後の余韻が完全にかき消されてしまう。「主題歌」というのはあくまで「主題」ありきだということを近年は忘れられがちであるが、特にソニー系アーティストをタイアップするアニメにはそこらへんのことを今一度考えてもらいたい。
まあアニメ本編だけ見れば和歌に関するエピソードを繊細に描いていて、近年ではわりと丁寧な作りのアニメだったように思う。本編以外のものがマイナス要因になってるのは残念だが、これもメディアの違いを理解すべきという結論に達してしまうのだろう。




貧乏神が!

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ストーリー 7
キャラクター 8
演出 7
作画 7
音楽 7
総合得点 36点
総合評価 B

最終回が物凄く良かったです。今期に限っていえば上位3番目くらいに入る。以前指摘したと思うけども、これはギャグアニメというよりキャラクタの感情が交差する(そのうえで笑いが生まれるのでギャグアニメと思われがち)ハートフルコメディという枠に収まるのが正しい。で、こういったアニメには必ずと言っていいほど存在する恋愛要素がこのアニメにはほとんどない。特に市子に関してはほぼゼロといっていい。ではこの要素は何で補われるか、と考えるとまあむべもなく同性同士の友情になる。
この友情に当てはまるのが市子と紅葉のライバル関係なんだけど、最後に紅葉の人格を変化させる(矯正する)ことによって友情からさらに一歩踏み出した擬似的な百合的関係に持ち込んでいて、しかもこの関係が長くは続けられない上に市子自体が長く続けることを躊躇っているという二律背反。この相対性が素晴らしい。本当に素晴らしい。ホワイト紅葉は見ようによっては表の人格にも裏の人格にも見えるわけで、そんな紅葉を貧乏神に対しては表裏なく接してきた市子が望む姿(人格)に戻してやった、というのは市子のエゴと言えるのかもしれないんだけどやっぱりこれがあるべき形、という感じですよね。
市子と紅葉という2人の主役を引き立てる脇役の濃さも印象的だった。最後までしっかりと笑いを提供してくれるアクの強いボビーや、ここ一番という時に謎の活躍を見せた熊谷やワンコ、また市子の唯一の理解者であり一番の友人だった蘭丸、貧乏神側に関係するキャラクタやまともに出番がないのにも関わらず異常なまでの存在感を放っていた撫子など、キャラ主導型アニメでもやっていけるほど個性的なキャラ揃い。王道的な性格をもつキャラクタがほとんど存在しないのは逆に凄い。
笑いあり涙ありと非常にエンターテイメント性が高く、最後までダレることなく楽しめた純度の高い娯楽作品だった。ぜひ制作スタッフを変えずに2期を作ってもらいたい。



もやしもん リターンズ

もやしもん


ストーリー 7
キャラクター 7
演出 6
作画 6
音楽 6
総合得点 32点
総合評価 C

1期の時よりも更にスローペースなテンポで不安が多かったものの、後半のフランス編から怒涛の巻き返しを図ってきた。惜しむらくは1期の時の学園祭のような個々のキャラクタが確立された爆発的なエピソードが存在しなかったこと。だから印象としては手堅い良作という感じ。
ただ「ノイタミナ」という枠が掲げるコンセプトにはものすごく合致している作品なので、そういう意味では成功していると言えるだろう。農業に関する知識などをマスコットキャラ的役割を担っている菌を使って挿入することで堅苦しさを和らげ(これは相変わらず上手いと思う)、大学生活の中でも特にゼミの中での活動にのみフォーカスする。
2期では及川と沢木、長谷川と美里の2ペアを中心に1期より深めに話を作っていってるんだけど、こういうタイプの作品には珍しく恋愛要素が微粒子ほどしか存在しない。この潔さが見る者を疲れさせない、安心感というか安定感を生み出している。ここまで軸足がぶれない作品も珍しい。
最後に1期の時に比べて作画が圧倒的に良くなったことも記しておきたい。別に1期が「見られないほどひどい」というわけではなかったんだけど、2期の方がよりアニメ的になったというか、すっきりとした見栄えになった。



夏雪ランデブー

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ストーリー 8
キャラクター 6
演出 9
作画 7
音楽 9
総合得点 39点
総合評価 A

今までのノイタミナ枠の作品の中でもトップクラスに「ノイタミナ」という枠を意識したアニメだった。大人が楽しめるというコンセプトに基づいて繊細に作られている。
一つ一つのセリフがまるで演劇のようであり、それほど「言葉」というものが重んじられている作品なのだと伝わってくる。それはプレスコ収録という最近では比較的珍しい手法で声が当てられたことからも察せられる。この「夏雪ランデブー」という作品は誰かから誰かへの声が通じれば、誰かから誰かへの声が通じなくなるという構造であるがゆえに、声あるいは言葉の伝達手段、もっといえばコミュニケーションという根本が非常に重要になる。
ラストは中盤からの重い展開が嘘のような清々しい終わり方で、「今まで見てきて良かった」と思わせてくれるだけの価値はある。島尾が長く葉月の身体を乗っ取って様々な事を言ってきた/行ってきた代償として、葉月と六花が共に亡くなるまで二人の生涯をずっと見続けなければならない、つまりそれまで成仏できずに現世を彷徨わなければならない、と考えればこのラストはとてもしっくりくる。
そして、最後まで見て改めてこのアニメの真の主人公は葉月でも六花でもなく、物語のスタート地点で亡くなっていた島尾篤だということがよくわかった。島尾が未練を清算するうえで、六花は過去を乗り越え、葉月はその過去を抱いていた六花を受け入れるという構造が出来上がる。島尾という存在は現実にはいないにも関わらず、他のどの登場人物よりも現実味を帯びた存在感があった。
3人という必要最低限の登場人物の外面ではなく内面(過去の体験などではなく心情の機微など)を11話丸々使ってじっくりと掘り下げていくというのは、普通に考えれば途中でダレそうだしそう簡単にできる構成じゃないんだけど、このアニメに関しては身体の乗り移りという最短時間で内面を変化させられるたった一度のイベントがそれを容易にしている。
最初から最後まで丁寧に作り上げられた世界観とキャラクタに支えられた、今の時代には珍しいとさえ思えるようなタイプの良作。派手にヒットすることはなくとも、細々と語り継がれていくような作品だろう。



恋と選挙とチョコレート

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ストーリー 5
キャラクター 3
演出 7
作画 6
音楽 8
総合得点 29点
総合評価 D

言うなれば夏休みの宿題を夏休み終了間際になってから手をつけて徹夜でギリギリ終わらせたという感じのアニメだった。前半でゆったりやり過ぎて後半からめちゃくちゃ内容詰め込んでいて、その展開の早さに眩暈がした。これは一概に脚本と構成が悪いとは言えず、実際のところ長尺なノベルゲームを1クール12〜13話程度の分量でアニメーションにして纏めようとすること自体が至難の技と思われる。
恋と選挙とチョコレート」とタイトルに冠していながら、選挙という要素に重点を置きすぎていて恋とチョコレートという要素がほとんど見られなかったのが勿体無い。恋という要素がほとんどなかったせいで大島と千里の距離の詰め方がよくわからなかったというか不自然さがあったし、チョコレートは大島と千里を結ぶ絆というよりは千里が過去に囚われてしまった要因という印象が強かった。
最終回は全ての集大成という構成だったんだけど、やはりこのアニメは「選挙アニメ」という主軸があって、恋やチョコレートは添え物程度の扱いだったということがはっきりした。だから選挙アニメという観点ではかなり直球に近い作品になっている。正直、無理に恋とチョコレートの要素を入れなかった方が面白かったのではないかという気さえする。詰め込みすぎず、選挙を根幹に据えて大島の意識の変化をしっかり描けていれば充分良作になれた。



この中に1人、妹がいる!

中妹


ストーリー 4
キャラクター 6
演出 7
作画 8
音楽 8
総合得点 33点
総合評価 C

最終回が一番無難だというまさかの展開で、今までの頭のおかしい中妹はどこへ行ったんだという思いでいっぱいでした。おれたちの見ていた中妹は精神病院で流されていてもおかしくないような中妹だったはずだ。しっかりと全ての伏線回収をしたうえにキャラクタの心情を丁寧に描写するなんておれたちの知っている中妹じゃない…
まあそれはともかく、原作もこんな感じなのかは知らないんだけどとにかく脚本が頭おかしくて、しかもそれをギャグとかじゃなく真面目にラブコメとしてやってるのでそのギャップがおかしくて笑っていた。こういう意図せず生まれる笑いというのは狙って出せる面白さじゃないので貴重だったりする。
とまあ脚本の頭の悪さ、ひいては制作スタッフたちが感覚マヒしてるという事実が表に出てきて目立つようになっているが、意外と作画の乱れもなく、演出や劇半も効果的に用いられていて映像としては平均より上に位置する作品だと思う。ほとんどの登場人物が頭おかしいせいで整った作画があまり生きてこなかったのは残念だけど。
一応最後に妹は雅だと明かされたけど、原作読んでる人に聞いたら「確証はないらしい」とか言われて爆笑した。原作はそれでまだ引き延ばしてるんだとか。でも別に雅が妹でいいんじゃないかな、2期できなくなるけどこの終わり方がベストだと思う。



はぐれ勇者の鬼畜美学

はぐれ勇者


ストーリー 5
キャラクター 6
演出 6
作画 5
音楽 6
総合得点 28点
総合評価 D

主人公がはぐれ勇者であるという設定も鬼畜美学というタイトルの要素も生かしきれてなかった、いわゆる用意した素材は良かったのに料理した際に失敗してしまったような典型。
1〜2話目であんまり面白くなさそうだという予兆はあったものの、3話目で紳士枠に滑り込むようなエピソードを投下して全く別方面でのヒットを狙ってきて、これは紳士方面に特化したら強くなるのでは…という希望を持った。持ったんだがその後の展開が雑すぎて紳士アニメとしてもバトルアニメとしても中途半端になってしまった。
作画もそんなに良くなかったんだけど同時期にTEが放送されていたおかげでそこまで作画が酷いという印象はなかった。劇半も同じくあんま良くなかったんだけどED曲は良かった。
それよりヒロインであるミュウを演じているのが日笠だという事実、12話全て見終わっても未だに信じられない。澪とか箒とかシノとか、黒髪で気が強いキャラに適合するような声質だと思ってたんだけどこれは新境地っぽい。
最終回に関しては完全に「おれたちの戦いはこれからだ」という締め方で、
まあライトノベル原作だったらそうなりますよね、という感じで特に批判する気もなし。これで分割2期だったら良いんだけど多分そんなことないですよね…



だから僕は、Hができない

僕H


ストーリー 6
キャラクター 8
演出 5
作画 7
音楽 7
総合得点 33点
総合評価 C

途中からオリジナルになったというわりにそこまで酷くはない展開だった。最後に良介が生き返るのはもうご都合主義でも何でもなく既定路線なので今更どうこう言うつもりもなし。
ただ、街を再生させるのを不思議な力で無理矢理解決せずに、人間とメルローの共存という形で幸せを生み出し、そこから発生するエナジーで少しずつ再生を図っていく、というのが意外と理に適っている上ストーリーの進行上も無理がなくてよく考えたなーという感じです。
しかしやっぱり後日談みたいなものをナレーションで詰めていくのは薄さを感じてしまう。まあ最後までこのアニメの矜恃を貫き続けたのは評価できる。紳士アニメはそのテーマを提示したその時から常にそこから逸れないようにしなければならない宿命を背負っている。
そしてギリギリだった制作状況があまり感じられない作画の安定感と、何回も聴くうちに耳に馴染んできたED曲(OPはわりとすぐ飽きやすい)と劇半が薄くなりがちなアニメーションを支える。演出のチープさは否めなかったものの全体的にはバランスの取れた作品だった。



カンピオーネ!

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ストーリー 6
キャラクター 8
演出 8
作画 7
音楽 5
総合得点 34点
総合評価 B

最初から最後まで圧倒的中二病の世界観を守り切ったアニメだった。学園ラブコメという選択肢を捨ててどこまでも神話をベースにした神々との戦いをメインに作られていて、台詞回しも必殺技も固有名詞も複雑でどこか堅苦しい。
ゴドーという神殺しの主人公はもともと特徴の薄い男だったんだけど、周りのヒロインたちと接することで徐々に個性が現れ始めてきたように見えた。特に戦闘をしているときと日常時での雰囲気がだいぶ違うのが面白かった。
最終回はわりと「最終回だ」としっかりわかるような作り方で安心して見られたんだが、戦闘中に全ヒロインを登場させるあたりやはりこのアニメはハーレムエンドに行き着くんだろうなーと。ただそれならそれで学園パートもう少し増やしても良かったとは思う。
作画に関しては後半かなり危なかったんだけど、思いの外演出が結構凝っていて戦闘とかは毎回楽しんで見られた。ただ神様に関しての説明の長さは若干テンポ崩してる感じはするけど。
まあキスとマダオと神話という噛み合わなそうな3要素を混ぜたらこうなった、という興味深い結果ではある。しかしキスだけでどこまで紳士アニメに近付けるかとか、マダオを予告以外で一切使わないとか、わりと実験的なことを多くやってる作品だという印象もあった。



DOG DAYS'

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ストーリー 6
キャラクター 8
演出 7
作画 8
音楽 8
総合得点 36点
総合評価 B

第1話から最終回まで徹頭徹尾、1期の時の「平和な世界」というエッセンスを抽出して作られたアニメだった。2期の作り方としては妥当であり尚且つ大多数の視聴者がこのアニメに求めているものをよく理解して作っている、といった感じ。特殊部隊の多かった今期のアニメの中では異彩を放つくらいストレートで爽やかなファンタジー。
夏休みという期間であり、その上向こう側の世界と連絡が出来て行き来も簡単に行えるという状況なので1期の時にあった緊張感は完全に削がれて、ただひたすらに「休暇」を意識させる話たち。子供の頃、夏休みに田舎の祖父母の家に帰省したときのようなあの感覚を味わえる、近年珍しいくらい「遊び」を意識している。アニメとしては子供向けの作り方なので、これが深夜に放送されていることが不思議に感じるくらいである。
1期の時の山場だった魔物襲来など、シリアスパートがいっさい存在しないという構成は下手したら山場がない単調なつまらない作品になってしまう危険を孕んでいるんだけど、このアニメは戦争という名のお祭りや姫様のライブなど、シリアスパートを使わずにしっかりと山場を作っていて「飽きる」ということは一切なかった。さらに癒し要素を増していたおかげで1期よりも見やすかった。
2期で特筆すべきはシンクの幼馴染のレベッカがサブどころか姫様の椅子であったメインヒロインの座を奪うくらいの勢いで出番が多いことだろう。1期のときはフロニャルドの世界にすら来ていなかったレベッカが、2期になってフロニャルドに訪れてからシンクとの距離を高速で縮め、シンクと姫様というカップリングが、姫様がレベッカに助言することでシンクとレベッカというカップリングが成立しそうになった。最終回ではもうほとんど成立したと言っていいのでは。
1期のときから予兆があったんだけど、姫様はシンクのペットみたいな立ち位置になってしまいそうな感じ。しかしそれよりも、1期でシンクのライバル的存在だったガウルが2期で追加されたナナミという新キャラに完全に役割を奪われているのが勿体無い。キャラ追加するなら役割が被らないようにすべきだった。まあ1期の時点でキャラが多くて全員動かしきれてなかったんで、そのへんに関してはあまり期待していなかった。でもこれが正解なんだろう。この、誰が活躍しているのかわからなくなるくらい混み合ったお祭り騒ぎを楽しむのがこのアニメの正しい視聴方法。



ココロコネクト

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ストーリー 8
キャラクター 8
演出 9
作画 8
音楽 7
総合得点 40点
総合評価 A

このアニメは主要5人の登場人物たちの成長物語、もっと踏み込めば「過去、現在、未来のいずれかを乗り越えていくための話」というもので、それゆえ時として必要以上に深みに嵌っていったり傷付けあったり、起こっていることは空想じみた出来事なのにやってることはどこまでも人間臭い。
ヒトランダムもキズランダムもカコランダムも全てそうなんだけど、解決方法は非常に単純で傍観者側からすれば一番最初に思いつくようなもの。おそらく当事者達もその考えは浮かんでいるんだろうけど、あえてその道を通ろうとしない、あるいは目を背けていて自分と他人を傷付けないで丸く収めようとして行動しているように見えた。
ヒトランダム編はどれだけ他人の心中を汲みとれるか(見せたくないものをどれだけ他人に晒せるか)、キズランダム編は他人を傷付けてしまうことを自分が受け入れられるか、カコランダム編は過去を乗り越えてこの先進んでいけるか。並べてみると一番内省的なのがカコランダム、人との繋がりを意識しているのがキズランダム、その中間に位置するのがヒトランダムという具合になる。
最終回(カコランダム編最終回)は非常にココロコネクトというアニメの収束地点というエピソードで「最終回らしさ」を感じさせた(伊織のモノローグを除けば)。個々人の問題を5人で解決する、という手法が主だっているので落としどころとしては妥当なところだろう。親子問題という内向きなものに他人が介入するのは野暮ったい気もするけど、これに関しては問題解決まで他の4人が伊織を導いてやる、という構成だったので特に違和感がなかった。
外乱というか意図せずコンテンツごと炎上してしまったのは残念だったけど、もちろんアニメ本編にはまったく関係のない出来事だし、それによってアニメそのものが陥れられるのは納得いかないですね。そういった部分での評価はきっちり切り離すべき。



境界線上のホライゾンII

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ストーリー 7
キャラクター 8
演出 10
作画 8
音楽 7
総合得点 40点
総合評価 A

1期と同様、7話あたりを過ぎた頃からの盛り上がりが尋常じゃなく、相変わらずのスロースターターだなーと苦笑しつつもアニメーションの利点を生かした迫力のある戦闘描写に舌を巻く。とにかく映像としての完成度・面白さをどこまでも追求しているアニメで、キャラクタ重視でもストーリー重視でもない(もちろん両者を蔑ろにしているわけではないけれど)「映像重視」というアニメという媒体ならではの立ち位置を最後まで貫いていた。
敵味方どちらにも魅力があるのがこのアニメの特徴で、「一点の曇りもない根っからの悪人」というキャラクタに今のところお目にかかってないことも物語に説得力をもたせている。そしてどのキャラにも平等に出番がしっかりと与えられている(名前を覚えきれないほどキャラクタがいるのにも関わらず)構成の素晴らしさ。やはりホライゾンはこれですよ。この構成が圧倒的スケール感を生み出す原動力になっている。
最終回も非常に最終回らしい最終回だった。1期の時もそうだったけど、最後にはホライゾンの感情が要になってくるので、必然的にトーリ&ホライゾンのペアが戦闘のトリを飾ることになる。今回はホライゾンがほとんど自発的かつ自然的に涙を流したことが1期との大きな違い。まあ最後の見せ場はメアリと点蔵ペアがもっていったんだけど、2期に関してはこの2人がメインという感じだったし納得できる締め方。
トレス・エスパニア側の面子が本当に癖と魅力のあるキャラクタばかりだったこともありアルマダ海戦の歴史再現はとにかく見応えがあった。これは原作読んでたら物凄い感動できたんだろうなー、とラノベ原作アニメの法則に則って先に原作読まなかったことを後悔している。恐らく来るであろう3期に備えて読んでおこう…



織田信奈の野望

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ストーリー 7
キャラクター 8
演出 8
作画 10
音楽 5
総合得点 38点
総合評価 B

最終回含めとにかく作画に尋常じゃないほど気合の入っていたアニメだった。今期だと「TARI TARI」とタメを張るほどの出来で、そのおかげで合戦の描写に圧倒的な説得力があった。
「戦国武将が女体化している世界に男子高校生が迷い込んできた」と聞けば何やらラブコメ的臭いがするんだが、これはしっかりと史実に重点を置いてオリジナルの歴史を紡いでいく、正統的な戦国ものだった。
最終回の勝家の立ち回りや、信奈と仮面の男との戦いは演出が素晴らしくて、映像としての面白さがどこまでも追求された絵作りだった。作画の安定感はここでもしっかりと生かされている。
信奈の部下たちが集まってくるシーンも、その後に信奈の元に猿が帰ってくるシーンもそうだけど、このアニメは誰かが誰かのもとに戻ってくるシーンが基本的に上手く描けている。戦国時代という、誰がいつ死んでもおかしくない状況だからこその安心感もあるだろうし、演出や劇半を用いて生み出された山場としても効果的なシーン。
ストーリーに関してはiPhone最強とか半兵衛ちゃん万能とか色々ぶっ飛んだ部分もあったものの、一応は史実をベースにしているのであまり違和感が見られない。戦国武将女体化ものといえばキャラ中心アニメになるという印象があったんだけど、これに関してはしっかりとしたストーリーのもとでキャラクタが動いていて見応えがあった。最後に2期の展望を示したのは気になるけど。



TARI TARI

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ストーリー 8
キャラクター 9
演出 9
作画 8
音楽 10
総合得点 44点
総合評価 A

詳しくは別エントリで。



ゆるめいつ 3でぃ

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ストーリー 6
キャラクター 5
演出 5
作画 5
音楽 5
総合得点 26点
総合評価 D

堕落した大学生をじわじわと追い詰めていく3分アニメだった。


しばいぬ子さん

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ストーリー 4
キャラクター 3
演出 5
作画 5
音楽 4
総合得点 21点
総合評価 E

1話だけ尋常ならざる神回があったので充分です。



アクセル・ワールド

アクセル・ワールド


ストーリー 7
キャラクター 5
演出 9
作画 7
音楽 8
総合得点 36点
総合評価 B

全体的に構成が雑すぎる感じなんだけど原作の尺配分もアニメとほとんど同じらしいのでこれは原作が悪い感じがしますね。
何というか、久々に見た「原作に忠実にやりすぎてアニメとしてのテンポが崩れた」というタイプのアニメ。序盤は良かったんだけど能美編から尺の使い方を間違えている構成で、せっかくのハイレベルな演出と戦闘がもったいない。
最終回は無難な終わり方で、能美が綺麗な能美になってしまったこと以外は概ね予想通りの展開だった。ただ最後に師匠出したのは良かったですね。ていうか師匠が黒雪姫を「さっちゃん」って言ってるけどこれほとんどネタバレに近いのでは…
とりあえず脚本とシナリオ構成を除けば良く出来た作品だったと思う。特に音楽方面に関してはエレクトロニカのエッセンスの強い劇半、ミドルテンポの曲が一切ない歴代OP・ED(1クール目のEDが一番良かった)と、かなり近未来的志向性の強さを押し出していて作品に沿った作り方なのは評価されるべき(最近の「内容に合わない主題歌」の多さは異常)。


戦国コレクション

戦コレ


ストーリー 7
キャラクター 8
演出 7
作画 5
音楽 6
総合得点 33点
総合評価 C

始まった時には「こんなソーシャルゲームの宣伝アニメ2クールも見ないといけないのかよ地獄じゃん…」とか愚痴っていたのに、いつの間にかこのアニメの放送が楽しみになり、尼子久秀の砂場の話でこれは凄いのではないかという思いが確信に変わっていった。各話ごとに様々な作品のストーリーのパロディを仕込んでいて、元ネタを探す楽しさもあって時代のニーズに応えている感じもあり。
ただ、こういう1話完結型の作品には付き物と言える「各話ごとの出来不出来が激しい」という宿命からは逃れられず、演出や作画も各話によってかなりのばらつきがあった。しかし出来の良いエピソードは本当に良く出来ていた。戦コレ傑作選とか見たい。
あと各話で出た戦国武将たちの繋がりがもう少し見たかった。最後に今まで出演した武将たちが勢ぞろいした夏祭りではちょっとした感動というか、ああ半年間もこのアニメを見てきたんだなーという感慨が湧いてきたんだけど、どうせならこの面子が一堂に会する絵を見てみたかった。
というか最終回まで見てこのアニメの主人公は北条早雲だと確信した。個人的にはもっと卜伝ちゃんを見たかったんだけどあまりの可愛さゆえに出番が一話しか与えられなかったのだろう。そう考えておこう。
作画や演出はかなり低予算を匂わせるレベルだったんだけど、それをカバーするような脚本の変幻自在さが光るアニメだった。コアなファンたちによって語り継がれていきそう。



じょしらく

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ストーリー 6
キャラクター 10
演出 10
作画 9
音楽 10
総合得点 45点
総合評価 A

詳しくは別エントリで。



氷菓

氷菓


ストーリー 8
キャラクター 10
演出 10
作画 10
音楽 9
総合得点 47点
総合評価 S

詳しくは別エントリで。



◆ベストキャラクタ◆

女性

1位 わたし(人類は衰退しました)
2位 沖田紗羽
3位 千反田える

わたしちゃんがダントツ。全くもって中原麻衣の気怠い声は素晴らしい。


男性

1位 折木奉太郎
2位 フェリペ・セグンド
3位 福部里志

ホータロー含め氷菓に出てくる男キャラは何というかみな屈折した魅力がある。


人間以外(特別枠)

1位 しばいぬ子さん

絶対に人間とは認めない。



◆今期ベスト主題歌◆

OPゆるゆり♪♪ OP 『いぇす!ゆゆゆ☆ゆるゆり♪♪(七森中☆ごらく部)』

「ちょっちまっち 中学生」は今年トップクラスのキラーフレーズ。


EDじょしらく ED 『ニッポン笑顔百景(桃黒亭一門)』

インパクト重視。音楽面でもじょしらくは突き抜けていた。



◆今期最高回◆

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じょしらく 『キャラつぶし/アキバぶる/ちょいたし講釈』

ここにはいつも感動系のお話が来るんだけど今回は完全にこのエピソードにもっていかれた。最終回で尋常じゃなく爆笑させられたの本当に久しぶりだった。



◆今期アニメベスト3◆



1位 氷菓
2位 じょしらく
3位 TARI TARI




まさかギャグアニメが頂点の座を本格的に狙いに来るとは思わなかった。『じょしらく』は「ネタは質より量?量より質?」という問題に「両方」という返答でもって論争に終止符を打った。今期は『TARI TARI』の混じりっけなしの爽やかさが異質に見えるほど特殊部隊というか癖のある作品が多かった気がする。特に『人類は衰退しました』の独特の世界観や『ココロコネクト』の必要最小限の人物しか動かさない一種の閉鎖的物語などはかなり印象的だった。
これに対して秋アニメは非常にダイレクトでわかりやすい作品が多く、ともすれば各作品の出来も安定してくるのではないかという予想。ハヤテあたりはマンネリ化しそうで怖いけど。

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