咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A 第14局 『憧憬』
- 女性だけの空間を作り出すために主人公という投影・共感の対象となるキャラクタの存在(男性)を排除することで完成された作品には物語性が抜け落ちる、というのは『けいおん』や『らきすた』で露呈した事実であり新しいアニメ作品の先駆けとなったが、その中でも咲は男性と主人公の視点をほぼ完全に排除したにも関わらず物語性が担保されているという放送当時においては稀有な作品だった。まあ京太郎という男キャラがいたんだけど彼は解説を引き出すための役割に専念していた気がする。そしてこの阿智賀編ではついに完全に男性を排除した女性だけの空間になっているんだけども、咲本編にあった物語性はテレビ放送時には弱まっていたのが気になっていた。
-
- なんだけれど、この特別編というかテレビ放送の延長にあたるエピソードは今のところ物凄く物語性があって、テレビ放送の時のエピソードとは何だったのかというくらいに見違えた。ほぼずっと麻雀やってることと準決勝という緊迫した空間があるので盛り上がらないほうがおかしいという話なんだけど、演出やカット割り含め全体的に本放送時より引き締まって見える。中弛みや遊びがほとんどなく、25分間ずっと張り詰めた雰囲気に覆われている。
- 麻雀そのものに関してはおれから特に言うべきことはない、というかこのアニメで行われる麻雀に対して理論的に分析するのはナンセンスだと思う。麻雀は物語性を生み出すためのファクターに過ぎないからで、実際麻雀に対する詳細よりもキャラクタの掘り下げや誇大演出のほうに力が注がれていることからもそれが窺える。