惡の華 第一回 「運命の出会い」

  • 素晴らしい。これをキャラクタありきの作品だと思っている人達を一瞬で蹴落とせるように作られた導入といいロトスコープの用い方といい、おれが放送前に思い抱いていた「惡の華という作品をアニメ化するにはどうすればいいのか」という不安を払拭してくれるようなアニメーションだった。何万回でも言ってやるが『惡の華』はキャラありきの作品じゃないからキャラデザにこだわる必要なんてハナから無い。それをよく理解した長濱監督が選んだロトスコープによるアニメと実写の境界線を薄くしようとするこの試みは間違っちゃいないのだ。
  • ほとんど学校・街の景観・春日の家での描写に時間割いてるのでストーリーとしては序盤も序盤、最後でようやくスタート地点に立ったというところ。惡の華はキャラクタがあまり動き回ることのない、少年少女が葛藤を重ねる物語なのでこのくらいのスピードでも悪くはない。むしろこういう何気無い最初の導入にこそしっかりと時間を費やして然るべきだ。
  • 背景美術やレイアウト、脚本がしっかりしているので安定感もある。ロトスコープという(キャラクタの)実写からアニメへのトレースが用いられているだけに、キャラクタ以外の部分はしっかりした質感を出さなければ成立しないんだけど、その条件を見事にクリアしていた。
  • あまりにアニメーションとして異質なため、批判というより「どう接すればいいのかわからない」という人も多く見られたのだけど、そういう人はぜひ「空中ブランコ」というアニメを見てほしい。ベクトルは違うけれどアニメの表現方法としてはこのアニメと通じる部分がある。アニメーションは「アニメ絵のキャラクタが動くものだ」という決まりはない。これだって立派なアニメーションだ。キャラデザにしか興味がなかったりアニメに対する偏見に凝り固まった人達の脳天をぶち抜く素晴らしい作品だ。確実に見た人々の心に爪痕を残せる作品だ。この作品のキャプ画だけ見て批判するクソムシ(仲村さん風に)も一回固定観念取り払って見てみるといいですよ。