ゆゆ式 第5話 「唯と縁 とゆずこ」

  • 内容は非常に面白いんだがやや間延びした印象を受けた。ゆゆ式の特異な点は言葉の運用法とそのテンポにあるんだが、今回はキャラクタの関係性を押し出すために言葉を聞かせることに重点が置かれ、結果としてテンポを切り捨て一つ一つの言葉を伝えるという方向性で固まってしまっている。1話時点ではこれが両立していた上に映像としてのレベルも高かったので「これは傑作になるぞ」と言ったのである。
  • ゆゆ式は最小限の人数で最大限のキャラの見せ方を生み出しているという点でもこの手の作品の中ではトップクラスなんだが、今回は三人がフラットな状態ではなく「三人のうち二人が昔から仲良し」というアンバランスな状態を作ることで話に奥行きを生む。唯と縁の近接した距離感や二人とゆずことの遠めの距離感を言葉にすることなく行間で示してみせる。「ぐねっとくもんだね」というゆずこの台詞は最小にして最大の距離感を示す言葉だ。唯と縁が「死ぬ前の日に何を食べるか」というテーマで会話してる中にゆずこが中々入っていけなかったりする様子も距離感の明示。
  • あと、ゆゆ式はキャラクタの会話に脈絡が無いのに全体的に見れば一つの筋が通っているという異質さを備えている。ゆずこが前日の夜に送ったメールの内容に関連することを縁がその翌日の昼間に突然喋り出し、更に時間をまたいで放課後にゆずこが縁に返答するという、時間を一切無視したような会話劇。これは新鮮で面白かった。しりとりという基幹になるネタを固定してその合間合間に小ネタを挟むというアクロバティックな構成。こういう構成は日常系作品ではあまり見られない。
  • 今回はお母さん先生や千穂といった他サブキャラの出番が無かったぶん主要3人の関係性が浮き上がってくるネタが多く、今後のアニメゆゆ式の方向性を定めるのには丁度いい橋渡し回になったように思う。