俺の妹がこんなに可愛いわけがない。 第9話 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない!」

  • 祭りのあとという感じの(見る者によっては)えげつなく生命線を削ってくる話。原作読んでて黒猫との問題を解決するのに桐乃が出てきた時点でもう恋人とかそういう凡俗な関係に固執することなく京介は全てのヒロイン(妹除く)と親友としてフラットに付き合うんだろうなーと読めてしまったのである。だからこの後のあやせルートでもいまいち乗り気になれなかった。思い通りに行かない結果が見えている過程を歩くという行為ほど心抉られるものはない。
  • 桐乃は京介に縛られ京介は桐乃に縛られているという相互自縛状態なのでどちらか一方の恋愛や離別なんかが許される訳もなく、したがって関係性は時折変化しながらも最終的に元の位置に収束していく。どちらかが妥協するまでこの関係は持続するだろうし、物語は両者が互いを縛っていることを認識した上でそれを肯定した瞬間、そして時間による強制的かつ大きな関係の変化がもたらされたときに終わりがやってくる。
    • なので本来ならばここで俺妹という作品は終わっても良かったわけだが(だってアニメのタイトルすら作品名そのまんまだし)、作者は後者の時間の変化、つまり京介が高校を卒業する時を物語の終幕に設定した。そのおかげで擬似あやせルートや桐乃と真奈美との和解など人間関係の整理が行われて見通しが良くなった。
  • 毎回全てが丸く収まったように見せることに定評がある俺妹だけどここから少しずつ終わりを見据えて歩いていくので虚無感や喪失感に似た感覚が纏わり付くことになる。物語世界ではまだまだ話が続いていくのに現実世界から俺妹の世界の続きを知ることは出来ないという創作作品にとって逃れられない宿命。