有頂天家族 第一話 「納涼床の女神」

  • 原作の内容をほぼ完全に映像に落とし込んだ文句無しの出来。京都の古風でありながら穏やかさと懐かしさを感じさせる雰囲気はP.A.WORKSにより確立され、原作における矢三郎の独白は櫻井のナレーションとモノローグの中間を揺蕩うような語り口で再現されている。
  • とにかく能登麻美子演じる弁天が死ぬほどハマっていた、というかもう活字から連想できる声と出で立ちそのまんま、完全に脳内における姿形声動作をそっくりそのまま映像にしたような完成度で椅子から転げ落ちた。これだけでもうこのアニメを見た意味があると言ってもいい。桜の花が舞う中で弁天が初めて飛行するシーンを見れただけでもう満足している。
  • 赤玉先生の部屋におけるコンテが凄く良かった(狭い部屋で赤玉先生が上から矢三郎を見下ろすにはどうすべきか、ということを理解している)のと、酒場における弁天と矢三郎の最低限の情報だけを残して会話劇として成立させている会話が素晴らしかった。これ後者に関しては下手すれば原作を読んでないと分からなくなるような危険性があるのだけど、そうはならないギリギリのラインを攻めてて素直に脚本が上手いと思った。
  • 金曜倶楽部や赤玉先生の部屋、弁天の存在や赤玉先生が飛べなくなった理由など、しっかりと伏線を張りつつまずは物語の世界観に引き込ませようと計算されている1話だった。原作読んでる人間はある種の感動を覚える仕上がりになっていたと思う。惜しむらくはOPとEDのどちらもあまり作品に合っていないということか。これは慣れるしかなさそうだ(四畳半のアジカンのOPは世界観を完全に理解していて最高だった)。