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劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

見てきました。内容に関してはほぼ完全に総集編なので記事折りたたみはしません。テレビ放送見てる人はネタバレとか気にしなくても大丈夫だと思う。

言いたいことはもう2年前のTVアニメ最終回の時に語り尽くしたし今更言うこともないので今回は手短に書きます。何と言ってもおれはあの花に関しては「1話が最高でそれから右肩下がりだった」という記憶が強くて、実際あの花という作品は長井龍雪本人が語っている通り「泣ける要素をこれでもかと盛り込んだ」ような物語なので、至るところで「ここで泣け」というような魂胆が顕になっており妙に居心地が悪かった。食品添加物めっちゃ使ってるような、農薬散布されまくった野菜食ってるような、つまりはファーストフードを究極に突き詰めたようなものを摂取している感じがしてどうにも手放しに好きになれなかった。

で、そんなTVアニメではあの岡田麿里が脚本やってることで一時期ちょっと盛り上がってたけど、おれはあの花という物語の世界においてはむしろ岡田麿里のような人間の悪い部分をそのまま皿に乗せて提供する脚本家のエッセンスが効いてると思っていて(おれは本来岡田麿里という脚本家は好きではない)、つることあなるの喧嘩やゆきあつが女装するまでの過程、めんまの母親の奇行などの「誰かのため(主にめんま)ではなく自分の利益目的を追求した場合に露見する醜悪な部分」があの花の無菌室のような世界に生きる人間達に「お前らはそれでいいのか?」という問い掛けがなされているようでおれは好きだった。

「無菌室」といえば今期だとたまゆらあたりを連想するかもしれないが、あちらは完全なる純粋培養だ。ベクトルもメソッドも違う。実際のところ岡田麿里がいなかったらあの花という作品はたまゆらと似たような作品になっていた可能性は大いに有り得る。「あなる」という名前も生まれてこなかっただろう。そう、あなるというキャラはまさに岡田麿里の悪意がそのまま注入されてしまったようなキャラで、人間性としては超平和バスターズの中で最も素晴らしいのにもかかわらず、岡田麿里という1人の脚本家によってまるで存在が卑猥であるかのような烙印を押されてしまった不遇のキャラクタでもある。TVアニメ見てたときはあなるに関係する話とか出てくるのかなーとか思って見てたら結局最後まで出てこなかったし。あなるというキャラは結局「女性がその名を呼ぶ時の微妙な恥じらいをおっさんたちが楽しむ」という地獄絵図を作ってしまった。

ちなみに映画、「総集編であって総集編ではない」みたいな宣伝が一部でされていますが完全に総集編です。しかも「めんま視点の総集編」とか言われてたけどそんなことはなかった。もしかしたらこの映画における第3者視点(神の視点)だと思われていたものが実は全部めんまの視点だった、とかだったらめっちゃ凄いし高く評価するけど違うっぽいし。物語は「TVアニメの時間から1年後の夏」という時間が現在の時間軸として設定され、1段目の過去回想としてTVアニメ放送時、つまりめんまが幽霊としてじんたんの前に現れていた時の映像が挟まれていく。そこから2段目の過去回想としてじんたんたちが小学生だった頃の話が挟まれ、物語は多段的に進行していく。

この総集編で一番驚いたのは岡田麿里の毒素が全部抜けて前述したようなたまゆらに近い世界を確立してたことだ。これは恐らく一般視聴者、つまり元々深夜アニメとか見ない層へアプローチするために再構築したんだろうけど、岡田の毒素がないと逆に泣ける要素が減ってしまうように思う。まあおれの隣に座っていた女学生は鼻すすりながら泣いてたんだけど、おれは特に泣くでもなく、むしろあのTVアニメ版からここまで綺麗に岡田麿里の毒を抜けるのかと感心してしまった。構成力に関しては抜群。ちゃんと「総集編」してたし。内容にどうこう言うのはもう手遅れというか今更なので言及することもなし。おれとしては作画脚本ともにマックスに振りきれてた1話の内容は多めに入れてほしかったけどほとんどカットされてた。

あとはつるこの髪の毛の量がTVアニメよりも少なくなってるんじゃないのとか色々細かい部分で気になった点はあるんだけど、まあそういうのは本職の方に任せます。余談ですがおれは青エクもフェアリーテイルも聖☆おにいさんも映画見てないのでA-1制作の劇場アニメ見るのはこれが初めてだった。引きのキャラ作画についてはまだ改善の余地があるものの背景美術とかは綺麗だったんで概ね満足。A-1のアニメって俺妹とかのせいで取り敢えずベタ塗りみたいな印象あったんだけど、さすがに劇場アニメともなると色彩設定しっかりやってて目にも優しかった(?)。

その他の細かい部分が気になる人は映画見て下さい。あの花が好きな人には間違いなく刺さる映画だと思うし、あの花そんなに好きじゃなかったという人ももしかしたらあの花好きになれるかもしれない。