境界の彼方 #1 「カーマイン」

  • わずか開始1分半で主人公への共感に成功したので話がここから多少歪んでいっても目をつぶれるくらいの器の大きさを獲得した。何かに対しての偏執的な愛を叫ぶ主人公というのは大抵グレーゾーン踏み越えた先にいて共感云々とか以前にそもそもこいつが主人公でいいのかという疑問が先立ってしまい話に集中できないパターンが多いわけですが、奇跡的に主人公の叫ぶ偏愛と視聴者(読者)の趣味嗜好が重なった場合は客観的視点と自制心を失ってしまうくらい没入してしまうことがある。主人公が眼鏡を好いているという事実は揺るぎなく伝わってきたのでそれだけで充分です。
  • 話の本筋が出てくる前にキャラクタを一通り顔見せしてどんな人間なのかを提示しておく方法はやはり安心安定感があるので良い。殺しても死なない男とか血を操る眼鏡女子とか正統派黒髪少女とか先に出しておいてキャラへの興味感心を視聴者に持たせておいて本筋突入、という流れは極めて自然。眼鏡女子は異界師云々という設定とか基本的性格とか色々加味しても可愛さで何とかなる役得キャラ。
  • 作画に関してはようやく京アニが本格的に戦闘に力を入れ始めたことを確認出来た。監督の石立がコンテ演出やってるからお化け使うのかなと思ったらそこまで多用してなかったな。どっちかというとカメラワークで動きを見せる方向性だったけど進撃の巨人とはまた違うカメラの動かし方だ。人間対人間なのでこのくらいの塩梅の方が合ってるのかもしれない。学校内での戦闘も高低差生かしてて良かったけど、未来の自宅での戦闘のほうがカメラの動かし方がはっきりわかるしお化けも多用されてた。
  • 京アニはなぜ初回か最終回のどちらかで桜を散らすのか本気で分からないんだけど、それが嫌というわけでもないのでこの微妙なモヤモヤを一生抱えて生きていかなければならんのかという不安だけがしこりのように残り続けている。まあそれは置いといて、単純に1クール作品の1話としては過不足もなくキャラクタの魅力やストーリーのさわりは伝えられてるので特に不満なし。問題はここからストーリー主体になるのかキャラクタ主体になるのかというところ。