アウトブレイクカンパニー 第1話 「気が付けば異世界」

序盤数分を見て「はたらく魔王さまの流れを継承した労働アニメなのかなー」とぼんやり考えていたらラノベ作品にありがちな「知らないうちに主人公が何処かに飛ばされる」というルートに突入してしまった。そっち系の話は正直見飽きてるのでやっちまったなー新鮮さはもはや求められないなーとやや悲観的になってたらOPで原作者:榊一郎 のクレジットが飛び込んできたので「まじかよ今の榊一郎ってこんな話書いてるんだ」と一転してテンション上がってしまった。50過ぎたベテラン作家が己のやりたいことを現代的なフォーマットの中で実現させるというのは感動的なもんですよ。

世界観は僅かながらにポリフォニカの匂いを漂わせながらも、キャラクタはそれよりさらに現代的にアップデートされていて異世界ファンタジーの空間を維持している。ドラゴンや魔法が当たり前のように存在していながらもやることは日本のアニメ・漫画を中心としたサブカルチャーを異世界に輸入するという極めて現実的な話。「役人がそういうことに関わるとロクなことにならないので一般人の中から知識豊富な者を選出した」という理由も自然だしさり気ない風刺も効いている。

バリバリの戦闘系かと思ったら異文化交流がメインっぽくて、最初に上手くキャラ付しているおかげで展開が自然に頭に入ってくる。異世界でありながら基本的な設定は現実世界とあまり大差ないのも(己の脳味噌のキャパシティ的に)助かる。作画は今のところ何とも言えないけどラストの幼女の動かし方が凄く上手かったので期待はできそう。キャラデザが省エネでも大丈夫なように描かれてるのでちょっとキャラの作画が変になったくらいでは気にならないと思う。

正直なところ1話目の掴みとしては非常に良かった。ヒロインたちは文句無しなのであとは主人公の性格が矯正されれば好物といっていいくらいになる。近頃は正統派異世界バトルファンタジーものがめっきり姿を現さなくなって寂しい限りだけど(最近だと伝勇伝くらいな気がする、あれもう3年も前のアニメだけど)、こういう現代的な解釈で異世界ファンタジーを描くというのは正統派とはまた違ったワクワク感があるのでよい。