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名探偵コナン 業火の向日葵

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最近急にこのブログのアクセス数が増えて、いったい何事かと思ったら去年の名探偵コナンの映画『異次元の狙撃手』の感想を書いたエントリにアクセスが集中していた。それでようやく「あ、そういえばコナンの映画がもう公開されているのか」という事実に気付いたのだ。気付いてしまったからには観に行くしかない。おれは映画館という環境が好きではないのだけど、まあ1日だけの休日だし特にすることも無かったしいいや、という軽い気持ちで臨んだ。が、館内に入るやいなやゴミのような人の多さに吐きそうになった。ゴミが人のようだ。床にポップコーンとか散乱しているし。宛ら地獄絵図だった。それでも何とか地を這って劇場内に突入したのだが、席の両隣に「ポップコーンを勢いよく食べる・飲み物を音を立てて飲む・ちょくちょく携帯をいじる・隣の仲間と喋ってる」という4拍子揃った映画館に適していない生き物が座っていたので地獄の上塗りだった。まじで劇場内は飲食禁止にしてくれ。たかだか1時間半〜2時間程度の映像を見るだけなのに飲み食いを我慢できないとか完全に病気だろ。子供ならまだしも、高校生以上の人間がそういうことをやっているのを見る度につらくなるので映画業界は本当に頑張ってほしい。あと映画の音が死ぬほどでかくて、ラストなんて音大きすぎて全然聞こえなくて頭痛くなったのだけど、こういう文句ってどこに言えばいいんだろう。一応映画館のスタッフには言っといたんだけど改善される気配がまるでなかったぞ。


以下ネタバレあり


映画について。「静野孔文監督作の中では」一番面白かった。前作や前々作と比べるとわりと地味目なのだけど、その地味さを怪盗キッドというキャラクタの華やかさで補っていて、今までの行き当たりばったりの作品が嘘のようにしっかりと計算された映画に仕上がっている。しかし肝心のミステリ、謎解き部分については未だに雑。犯人の動機はもちろん、犯人を特定するための手掛かりがあからさま過ぎたり、決め手も「お前のパソコン見りゃわかるんだぞ」という身も蓋もない結論。そりゃ容疑者それぞれの家探しを徹底すりゃ犯人はわかるだろ。そうじゃなくておれが見たかったのはあくまで「現場内でのみ集められた手掛かりをもとに推理を構築して完膚なきまでに犯人を追い詰める」という、映画初期作ではしっかり出来ていたことだ。


明確に「映画は子供向け」とシフトしたからかもしれないが、ここ数年の映画のオチ、コナンの核であるはずのミステリ要素の扱いの雑さは本当に酷くて、子供を舐めてるとしか思えない。子供はおれたち大人が思っている以上に多くのことを理解している。それを言語化、文章化する力がないだけだ。しっかり順序立てて推理を展開すれば子供含めた観客が置き去りにされるということはない。あと今作の犯人、前作に続いて再びゲスト声優が声を当てたキャラクタだったということが不安で仕方ない。今後の映画も流れでそうなってしまう可能性がある。そうなると犯人当てもクソも無くなってしまう。犯人探しではなくゲストが声を当てているキャラ探しだ。


怪盗キッドの行動理由とか随所に仕掛けられたトリックとかが比較的簡単に看破できたのは残念だったが(『ベイカー街の亡霊』『水平線上の戦略』あたりのキレが戻ってきてほしい)、前作のようなあからさまな粗はなかった。コナンが超人的な能力を持っていることに関してはもうスルーすることにしたので(思えば『瞳の中の暗殺者』の頃から既にコナンは人間やめていた)、今さら怪盗キッドが飛行機から飛び降りてハンググライダーなしで空中を移動し、飛行機から落ちたゴッホの向日葵の絵を掴み取ったところで「おかしいぞ!人間じゃねえだろ!!」とは突っ込まない。みんな大人になったのだ。前作のように、コナンが公道をスケボーで逆走して一般車を次々と事故に巻き込むというような、他人に迷惑のかかる超人パワー発揮ではなかったからあんまり気にならなかったのかもしれない。


おれは怪盗キッドに全く思い入れはないし(アニメ『まじっく快斗』は楽しめたんだけど)、園子が馬鹿の一つ覚えのように「キッド様キッド様」と言っているのを窘めたチャーリー警部のほうが明らかに正論だなーと思って見ていたのだけど、この映画はキッドが何を目的に行動しているのかギリギリまで分からないようにしているので(実際はすぐにわかってしまったのだけど)、キッドの「活躍」というよりもキッドに纏わる「謎解き」という感触が強かったのが良かった。でもキッド登場作品に限定しても『世紀末の魔術師』のほうに軍配が上がるのだが。それと、13作目以降はやっぱり映画を見終わったあとの心地良い余韻が全くと言っていいほど無い。『世紀末の魔術師』『瞳の中の暗殺者』『ベイカー街の亡霊』『迷宮の十字路』などは文句無しに素晴らしかったし、最後にコナン映画で良かったなあと思えたのは08年の『戦慄の楽譜』だったりするので本格的にまずい。そんなことよりおれは名探偵コナンが不定期連載(?)になったことでおれが死ぬまでに物語が完結しない可能性が高まってしまったことのほうが気掛かりでならない。頼む青山剛昌艦こればっかりやってないで漫画のネタを量産しておいてくれ…