TIGER&BUNNY

4月から始まった超ダークホースヒーローアニメもついに最終回。
始まる前にはこのアニメがこんなに面白くてこんなにヒットするとは誰が思っただろうか。おれなんて眼中にもなかった。それが今では今年5本の指に入るであろう傑作認定ですよ。まだまだ審美眼を養う必要がありそうだ。

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最終回はバトルというよりは虎鉄とバーナビーの絆を中心軸に据えていたのでやや消化不良の面もあった。あと2期フラグ立ってて綺麗に纏める気がなかったのが少し残念。折角前回で「感動→熱くなる」展開をお膳立てしたのにもったいない。

バーナビーの敵討ち」という目的が最初から核になっていただけあって、それが解決されないまま終るってのが「うーん」と思ってしまう最大の要因だろう。2期やるなら新しい敵とか出して欲しかったのよ。

展開はやはりどこまでも王道。死んだかのように見えた虎鉄が復活し悪の根源マーベリックを倒す。いやまあ最終的に葬ったのはルナさんなんだけど。ルナさんに関する広げた風呂敷をこの時点で畳んでないんで、ああこれ2期あるだろうなーとは予想できた。

ウロボロスもまだ健在のようだし(というかシュテルンビルトそのものがウロボロスの支配下にあるような終わり方だった)、2期をやるにはこれ以上無い地盤が出来た。ここまで確実に2期を視野に入れた作品って最近じゃ見かけなかったので何か新鮮だった。
あとブルーローズの恋の行方や牛角さんの単体での活躍が一切ないなど、未開拓地はまだまだあるんで2期をやるんならそこら辺にもきっちりと着手して欲しいところ。

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USTでは監督の名シーンベスト3なるものが発表されていたが、おれは虎鉄が閉じ込められた楓を助けるあのシーンが間違いなく1番良かったシーンだと思う。正直、最終回でも楓と虎鉄の絡みをもっと増やしてくれればおれも評価が変わったかもしれないな。何度も言うように親子ものにはつくづく弱いのですよ。

とまあ、最終回に関しては不完全燃焼だったわけだが全体を通してみればこれほどよく出来たアニメは無いと思ったり。なにせこのご時世にヒーローアニメだぜ。しかもそれが稀に見る大ヒット。「萌えが主力」という認識は今、確実に変わってきている。個人的にもこの傾向は非常に嬉しい限り。おれはストーリー性重視する人間なんでね。

よく言われるようにBLの魂に火をつけたからという意見ももちろんそうだと思うが、実際のところこのアニメは1話の時点でかなりの出来だった。この頃はまだ虎鉄とバーナビーの絡みは殆ど無い。要するに作品のクオリティと熱いバトル展開が純粋に評価されたのだ。おれも久しぶりに直球のバトルアクション見て興奮してしまった。最近だと魔法上等だからねー。悪くはないんだけど毎期その手のもの見せられるとお腹いっぱいになるよな。まあこのアニメでも超能力が使われてるけどさ、基本は肉弾戦なわけじゃない。激しく動きまわるアクションとそれを盛りたてる演出が異常なほどの出来だったのよこの作品は。

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TIGER&BUNNYはどこまでも王道のヒーロー物だった。「王道」という言葉が何らかの要素の欠如に対する逃げ道として使われることも多くなってしまった昨今で、ほんとうの意味での「王道」と言える作品。子供の頃に見ていた仮面ライダーのような格好良いヒーローではなく人間くさいおじさんが、ヒーロースーツを身に纏い縦横無尽に動き回る姿。それは回を重ねる毎におれたちが子供の頃憧れていたヒーローの存在に近くなっていったように思う。

虎鉄とバーナビーの距離感もどんどん近くなっていったが、それは決して腐女子の想像するようなもんじゃない。かと言って仕事上のパートナーという関係に留まるものでもない。友人・恋愛・上下関係のどれとも違う、2人が築き上げた信頼関係。この辺はおれもよくわからないというか、ジェイク倒してから2クール目にいくまでの10ヶ月間のうちに何が起こったのか描写してくれないと掴めないよな。もしかしてそれも2期、あるいは劇場、OVAでやったりとか?それを想像するだけでも楽しいね。

前述の通りこのアニメはとにかく演出が上手い。バトルアクションと人間ドラマ、どちらをやらせてもシナリオ破綻もなく最後まで魅せてくれる。1クール目のジェイクとの戦闘、虎鉄と記憶を操られたヒーローたちの闘い、そこでのルナ先生登場シーンなど挙げたらきりがないので自重。

音楽に関しては、1クール目のOP・EDは共に最高だったんだけど、2クール目のOP・EDがなあ。全部オリオンと星のすみかでよかったんじゃないか。でも最終回にどっちの曲も挿入歌&EDとして使われたのは嬉しかった。EDとして使われるオリオンはOPで聴いてた時とはまた違った感触が。星のすみかもやっぱ名曲。気付いたら200回以上聴いてた。

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作画はところどころ崩れていたのが残念だったな。BDとかで修正されるだろうけれど。まあ派手な戦闘とかの方に全力尽くしたんだろう。なので制作陣を責めることはしない。戦闘シーンは本当によく出来ていたから。

総じてこのアニメは傑作と言える出来だった。今後あるであろう続編にも大いなる期待ができる。その時はもっと虎鉄の家族やブルーローズの恋や牛角さんをクローズアップしてほしい。特に牛角さんは切実に。いやマジで。

とにかくスタッフ・キャストの皆さんお疲れ様でした。震災で疲弊しきった世の中に、どこまでも真っ直ぐで熱い、最高のヒーローアニメを届けてくれてありがとう!そしてありがとう!!