輪るピングドラム 23話

来週の最終回に向けて置きにいくかと思いきやますます暴走していた。OPよろしく特急列車乗っちゃってネバーランドに連れて行かれてしまうのだろうか。

桃香はサネトシにより二つのペンギン帽子に意識を移され、サネトシは桃香により二羽の黒い兎にされた。そういやペンギンもウサギも数え方同じだな。空を飛べない(地上から解き放たれることは無い)のに。

サネトシが「君たちは亡者に呪われている」と言ったことから、陽鞠や真砂子の死はサネトシがこの世に顕現したことと関係しているとも考えられる。そうなるとサネトシを倒すことで陽鞠も真砂子も救うことができる。これならハッピーエンドいけるで。

生存戦略は魔法というより「その人物の心象風景みたいなものを対象とする人に見せる」という意味合いの方が強いような。前述のことも合わせてみると、サネトシは真砂子をここで「救った」のではなく自らの呪いを解除もしくは弱めたとも考えられる。サネトシは自分の姿を見せる相手を選ぶことができるようだし、自らの力を調節できてもおかしくはないだろう。

潮干狩りの陽鞠の泣き顔はすごく良い。鼻水まで垂らす絵を描くアニメーターは信用できる。だいたい人間というものは本気で泣いた時はたいがい鼻水も一緒に放出されるのでこちらのほうが極めて自然な描写なんだが、そういったもの自体が近年「ケガレ」みたいな感じで扱われてきた感じはするわな。

冠葉が昌馬を撃ったときは最初絶句したが、その後すぐにペンギン銃弾だとわかって、ともすると「ずっとこうしてやりたかったんだ」という冠葉の台詞から察するに、これ撃ち込まれたのは記憶玉なのでは。

日記が燃えたということは運命乗り換えは出来ないかな、と思ったが、前半で桃香がページをペラペラ捲りながら呪文を唱えていたことから、運命乗り換えのための呪文は全てのページのある言葉を組み合わせて初めて完成するものなのかな、と思った。それなら全てのページを何度も読んでいる苹果が暗記してて発動、という展開になってもおかしくはない。そういやここでOP映像の伏線が回収されてたな。

そして日記が両方消えたとともにペンギン帽子が急に桃香の声で喋り出した。つまり日記が桃香の能力を何らかの形で抑えていたということになり、そうするとサネトシも何らかの力で押さえつけられてたのかなーと考えたがわからん。冠葉が撃った玉によるものだという可能性もあるし。

そしてまさかの兄弟バトルから兄弟共闘展開に。その最後の決着をつける場所が、今まで何度も劇中に出てきた地下鉄の中、というのが原点回帰と物語の収束を感じさせる。

Cパートで昌馬だけでなく冠葉も箱に囚われていたことから、箱は世界とかそういった窮屈なものを表していたのだとわかる。とすると序盤でサネトシが言った「箱から出る」は「世界から解き放たれる」てことか。

まああれですよ、何だかんだ言ったところで完全正答は不可能だし、これそんな軽い作品ではないことぐらい今まで観てきた視聴者には痛いほど分かっていると思う。なので我々はただ座して最終回を心待ちにするだけで良い。「尺が足りない〜」とか言っている奴は間違いなく真面目に見ちゃいない。これまで幾度となく1話内で物語が流転し続けたのを観てきた者なら、「残り1話」という残された時間がどれほど悠久に近しいものかわかるはずだ。

このアニメは勿論イクニの力が大きく働いているが、イクニだけではこの物語は創り得なかった(「こそピン」や西位輝実氏の話なんか聞いてるとスタッフ一同のこの作品に対する思い入れの強さが覗える)。全てのスタッフの力が注ぎ込まれた最終回が楽しみすぎるので1週間早く過ぎろ。