Another 2話

のいぢ絵はホラーの雰囲気は出せるが、ホラーそのものは表現出来ないのかもしれない…とふと種々の人形のカットを見てて思った。いや別に悪いことではなく、むしろこのアニメの終着点がミステリならその方が良い。ちなみに今のところ1番怖かったのは人形館の婆さんだったりする。ああいうシンプルな描き方されたキャラって照明絞られた場所だとやたらと不気味。


ではこのアニメで最もホラー的演出に一役買っているのは何か、というとそれは周知の通り音楽で。アニメとしては珍しくほとんど劇半は使われないんだけど、会話が核心に迫った時に重低音中心に鳴らされる音が緊張感漂ってて、実写版にも負けず劣らずホラーやってる。劇半の音量を大きくしていって突然音楽を消す、ってのもホラー作品の常套手段。扉を閉めるカットや誰かが核心を突くセリフを発する場面を起点にして音を消すってのは馴染み深いよね。


そして今回、前回から所々に挿入されてた人形を実際に目にすることになる。今までの人形は人形館におかれていたものだったことがわかる。しかしこの人形が鳴や学校の秘密とどう関係するのかはまだわからない。ただ鳴にそっくりな人形は何なのか、ってのは気にしてないといけない。あと鳴が1番好きな人形が「互いに繋がってるのに安心してる」っての、鳴本人は「繋がってないことに安心する」という思考なら、好きというより興味があると言った方が適切だろう。好き、という感情について鳴がよく理解していないならばともかく。
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鳴が眼帯外したシーンで次に持ち越し、ってことは案外眼帯の下にあるものは普通の目だったりするかも。異質なものがあるとしたら、散々恐怖心を上げておいたあそこでぶった切る必要はないはず。ただ火傷の跡とかそういった物理的なものである可能性もあるな。


鳴が図書室で描いていた女性の絵、あれは鳴の妄想と実在のモデルが綯い交ぜになっているものだと言ってるけど、鳴はその絵の女性に「最後に大きな翼を付けてあげるの」と言ってて、これは二通りの解釈が可能。
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[解釈1]
今のところ翼の生えた女性のモデルというと、作中で既に出てきてる人・物で該当するのは実はあの「人形」だけなんだよな。つまりはモデルが人形、妄想は「その人形を動かす」ということなのでは。ここに関係して、鳴そっくりの人形が関わってくる展開が考えられる。
1.jpg↑OPに出てくる人形

3.jpg↑本編、図書室から出た後に挟まれる人形のカット


[解釈2]
翼を付けると言われたので榊原は天使かどうか尋ね、鳴はわからないと答える。仮にこれが「天使」ではなかったにしても、「翼の生えた人間」というワードからイメージされるものは、創作の世界においては「死人」じゃないだろうか。例えばギャグ漫画なんかでも、生きた人間から魂が幽体離脱するとき、魂の方の人型には必ずと言っていいほど翼が付いている(あと天使の輪っかとかね)。つまり鳴が描いていたのは「死んだ自分(ただし、事故で死んだ中学生が鳴だった場合)」ではなかったか。そうなるとモデルは勿論自分自身だし、想像の部分というのは「自分に翼が付いた状態がわからない」ということなんだと説明がつく。


ただ後者の解釈だと、今現在の鳴が幽霊ということになってしまう。主軸がミステリ、しかも綾辻行人なら流石にそんな非科学的展開にはしないよなあ…
まあしかしこの絵がどう関わってくるのかはまだわからない。人形館がキーになるのならばあるいは鳴の正体に関係するのかもな。


で、死んだ中学生は鳴なのか、もしそうなら榊原が学校で話している鳴は何者なのか、が今後の焦点か。しかしそうなってくるとミステリじゃなくホラーだよなあ。病院の看護師が榊原に向けていった「ホラー少年」がこんなところで機能するってのも簡単すぎる話だし。


そういや「榊原が死に近い名前」というのを考えてたんだが、この作品の時代設定からするとたぶん「酒鬼薔薇事件」を想起させるからではないか、という結論に辿り着いた。で、原作既読者に尋ねてみたところどうやら正解らしい。そんな安易な連想でいいのか。