Another 3話

まず最初に言いたい。


貴重なメガネ女子(しかもCV:野中藍)を真っ先に離脱させるなよ!しかもあんなグロいやり方で!

おれの視聴モチベーションが!徐々に!削がれていく…ッ!


今回も伏線らしきものが随所にばらまかれていて、4・5回見て凡その内容を把握していく視聴方法となった。そして最後はグロが苦手なおれにとってなかなかの精神的ダメージとなった。水島監督のグロシーンの表現方法は血Cで掴めたと思ったんだが、真面目にやればこんなに恐怖心煽れるんだと少し見直しもした。やっぱ血Cのあれはギャグだったんだな。おれは人の死を死として受け入れず笑いに繋げようとする行為が嫌いなんだけど(ああ、だからABも根本的に受け入れられなかったのか)。


それはさておき、鳴の片目は義眼であることが明かされる。「人形の目」と彼女は形容していたが、その後すぐに「人形は死にも通じる虚ろさを持っている」と話している。それはもちろん実際に人形に生気を吸い取られるというわけではなく、むしろ彼女自身の目を示唆した言葉ではなかったか。死んでいる、という意味でも当てはまるし。


人形館で鳴は26年前の3年3組の噂を榊原に教える。しかしここで気になるのは「死んだ生徒が男か女かは明示されない」ということである。名前は「ミサキ」だと明かされたことで、音だけ聞けば女生徒であるようにも思えるが、知り合いに「ミサキ」という音の名前を持つ人がいるので、男という可能性だってある。
鳴が噂話を語り机を指す動作を真似た時、女の人形のカットを挟んだことから死んだのは女生徒ではないかと推測できそうだが、あの人形館には男の人形が見受けられなかったので断定はできない。その後に挟まれた複数の人形たちのカットはある生徒の「死んだ子が実は生きている」という意見に同調した生徒たちを示しているのは確定的だが。
5.jpg↑死んだ女生徒?

6.jpg↑「生きている」といった周囲の生徒たち

7.jpg↑3年3組という箱(閉鎖的空間)の中で生きていることにされた生徒を示している

8.jpg↑空に飛び立つ鳥は卒業する生徒たち


ちなみに店の名前、「黄泉の黄昏の」ってのは、黄泉が「地下の死者」を指すので、この人形館の地下の人形たちのことであるとすぐに見当はついたんだけど、黄昏は現在の意味で取ると「夕方」、昔の意味の方でとると「暗くなって人の顔がわからず誰だか尋ねる時間帯」となってどちらもいまいち繋がらない。夕方じゃないと地下室が開いていないってことか。ただ、黄昏「の」で終わってるのは、明らかにこのあとに続く文字があるってことだろうしなあ…これは現段階では保留するしか無いか。


実は最初に「鳴は双子なんじゃないか」と思っていた時があった。タイトルの『Another』が「もう一つ」という意味だし、病院で死んだのは双子の姉か妹なのでは…と考えたものの、今回でその仮説はバッサリ否定された。まず鳴が姉妹の存在を否定し、さらに病院で死んだのは藤岡未咲なる人物だったと後に看護師から告げられる。名字が「ミサキ」ではなく名前が「ミサキ」。それは奇しくも、26年前に亡くなった生徒と同じ名前。


赤沢が東京に行けて、桜木が東京に行けないのは何故なんだろう。家の経済状況とかならそれ以上突っ込みようがないんだけど、行けない、というよりはこの土地に縛られているという印象を受けた。何らかの役割があるんだろうか。でもそれなら対策係というかなり重要な役目を背負っている赤沢はなぜ東京に行けるのか。逆に桜木は、榊原からの噂話の質問などについてもスルーせずに一応の返答はしていてわりと禁則事項に縛られてはいない気がするんだけど、この両者の違いが解らない。
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修学旅行の日程が3年の春から2年の秋に変わった理由としてはやはり26年前に死んだ生徒がいたからだと考えられる。変わったタイミングは「昔」としか語られてなかったが、これがおそらく26年前あたりの出来事であることは想像に難くない。なぜなら26年前、生徒が死んだのは3年に上がってすぐのことだから。それが修学旅行に行く前のことか後のことかは明言されていない。しかし普通に考えて、「ミサキ」という名前の生徒は修学旅行の直前あたりに亡くなって、彼あるいは彼女のことを慮って2年から修学旅行に行くようにしたのでは、と推測できる。
あと榊原の母親は確実に26年前のミサキの噂話と何らかの関係があるだろうな。下手したらクラスメートだった可能性も。怜子は26年前の3年3組の噂話の続きを知ってるみたいだし(身内の人間がその事件に深く関わっていない限り、あの閉鎖的空間の情報を得ることはできないだろう)。


怜子との会話中に一瞬入ってきたこのカットはどこだろう。美術室か?
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風見はここで鳴のことを認識しているし、勅使河原にいたっては鳴のことをはっきり「それ」と示した上でいないものと明言した。しかし逆にそのことが、鳴の存在を確証づけることとなる。つまり3組の生徒のほとんどは鳴の存在を認識していることになる。見えていないもの、存在のないものを「それ」と示すことはできない。「それ」はどこまでも物質的に存在しているものにしか適用されない指示語であるからだ。
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存在のないものには名前をつけることはできない。無理矢理つけてもそれはあくまで自分一人の認識の中でしか成立し得ない。例えば何もない空間には「何もない空間」と名付けられるが、それは世界のあらゆる何もない空間に適用される。自分が最初に名付けた「何もない空間」を知っているのは自分だけだ。その情報を共有しない限りは広まることもない。


つまりは「いないもの」ってのはまあ、「いないものとして扱っている」ということなんだろう。その理由に呪われた3年3組の噂が関わっていることは言うまでもない。しかし、死んだ生徒は名前が「ミサキ」であったが、名字が「ミサキ」という音である鳴にも呪いの噂話の何かしらが適用されるのだろうか。あるいは、それまでは藤岡未咲が「いないもの」として扱われていて、彼女が死んでしまったため代わりに名字が「ミサキ」だった鳴があてがわれたという線もある。となると、鳴が藤岡未咲の復讐として3組の生徒を殺している、という結末も考えられそうだ。


そういや榊原はラヴクラフト全集を読んでいたな。ラヴクラフトの作品はかなりクセがある怪奇小説ばっかりで、中学の頃何かに取り憑かれたように読み漁っていた時期があった。クトゥルフ神話はもちろん、『ダンウィッチの怪』や『闇に囁くもの』は面白かったな。そこから怪奇+ミステリを求めて横溝正史江戸川乱歩、果ては京極夏彦まで辿り着いたのも今や昔。ああ、あと人間椅子の『頽廃芸術展』に収録されている「ダンウィッチの怪」は名曲だったね、是非とも聴いてもらいたい。
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それはともかく、ここでラヴクラフトを持ち出してきたのはどんな意味があるんだろう。主人公が現実か幻覚かわからないような現象に惑わされ、魔物や邪神の潜む場所へと導かれて行く…という点では確かに共通しているかもしれないが、ラヴクラフトの話に出てくる恐怖は基本的にその対象が曖昧なんだよな。でもこのアニメで榊原が抱いている恐怖の対象はハッキリしている。もちろん鳴と3年3組の噂である。これからラヴクラフトの物語のようにストーリーが展開されるということなのか。しかしさすがに川から人間ほどの大きさの蟹のような生物が流れてきたり、イカのような頭を持った巨大生物が突如登場したりすることはないだろう。


他に気になった箇所、あるいは伏線としては


・EDでキャラが映る順番、榊原を除いたら死ぬ順番になってるのでは
・何度も挟まれるエレベーターのカットの意味
・名前が「ミサキ」→名字が「ミサキ」にも適用されるのか
・人形の作者である霧果とは何者なのか
・人形が鳴に似ている理由
・人形館の老婆は鳴を客として認識していない、あるいは見えていないのか
・赤沢が榊原に付いて行こうとしてる(?)のはなぜか

思いつく限りでもこんなにある。これらの要素をどう物語に絡め、どう回収していくかだな。
やはりこういった系統の話は原作読まないであれこれ考えるのが一番面白かったりする。原作は全部見終わってから買うことにしよう。


しかし前述したが事故死(だよねさすがに)とはいえ、貴重なゆるふわメガネ女子だった桜木委員長をあんな形で最初に離脱させたことについては納得のいく説明が出てこない限り許さんぞ…!
17.jpg11.jpg16.jpgメガネ女子はなぜこうも不遇なのか、もう待遇改善を求めてストライキ起こすレベル