ラブライブ! #1 「叶え!私たちの夢――」

  • ラブライブというコンテンツについては2年前の夏くらいに知って大体のメディアミックスや内容・設定は把握していたので、あとはアニメ化するにあたって脚本がどうなるのかという一点にのみ期待と不安が集中していたんだけど、1話目を見た限りでは正直めちゃくちゃ良く出来ていると感じた。単純にお話としてとても面白い。これは完全に脚本の勝利だろう。「アイドル」と「学園もの」という要素をほとんど均等に混ぜ合わせている。
  • もともと西田女史が手掛けてるキャラデザに惹かれたのが認知のきっかけだったんだけど、キャラデザがいくら良くても中身がなければ意味はないわけで、コンテンツ展開の時には「物語の伴わないキャラクタには魅力がない」と思っていたんだけど、こうしてストーリーの中にキャラクタが置かれることによって逆にキャラクタがストーリーを引っ張っているように見えるから凄い。魔法のように今まで止まっていたキャラが動き出した。
  • 基本的にギャグがメインのストーリーの中に卒無く感動させてくる要素を入れてくるので話としての緩急がしっかりしている。キャラクタの性格も考慮してのストーリー展開だろう。アイドルとしてある程度の高みにまで登り詰めるにはそれなりの特訓が必要だろうし、ここで「最初からアイドルとしての能力を有している」という設定からスタートしたアニマスとの差別化を図ることができる。1からアイドルを目指すということは「応援」という熱量を込めることも出来るし、結構このアニメの設定は応用が効く気がする。
  • 穂乃果がとにかく良いキャラなので全くストレスを感じずに見ることができる。海未やことりといった周りのキャラクタも変に尖ったところがないので安心して見られる。人間関係の軋轢が拗れていくという某岡田脚本みたくはならないだろう。もしかしたら将来これがアイドルものの王道に位置付けられるかもしれない。
  • 肝心の歌、音楽方面に関しても文句無しの出来栄え。穂乃果の母親がアルバムを見ているシーンで流れた音楽とか凄く良い。OP・EDも期待以上で付け入る隙がない。ここまで密度濃く作り上げてこられるとその完成度ゆえに疎外感というか、作品と視聴者との間に距離が生まれてしまいそうなもんなんだけど、どういうわけか非常に人懐っこさを感じさせるアニメになっている。
  • とにかく1話目としては最高級のクオリティだし、この水準を超えていくようなエピソードが沢山あれば余裕でこの冬、もっといえば2013年最高と讃えられる作品になるかもしれない。それくらいの期待を抱かせるポテンシャルを有したアニメだった。