さばげぶっ!

1話で見受けられた不満点のほぼ全てが回を重ねるごとに解消されていく最高のアニメだった。何より園川モモカが最初から最後まで己のスタンスを一貫して変えないのが本当に良かった。とにかく園川モモカは本当に素晴らしいキャラクタだった。人間の本質的な部分を包み隠さずに表出させ、それでもなお他人から嫌われることなく一定の地位を築き上げている。極めて理想的な生き方をしている人間だった。みんなゲスいゲスいと言ってるけどおれは園川モモカのように生きたい。自分の利益や目的のためなら敵も味方も容赦無く斬り捨てるのも素晴らしい。女性でありながら思考は男性的だし、場合に応じて女性的特権をバリバリ使って相手を籠絡させるのも計算高さを窺わせる。主人公でありながら最強の知的な悪役ポジションを徹頭徹尾堅持できるキャラクタというのは10年に1度くらいしか出てこないので本当に貴重。個人的にはルルーシュに出会った時並みの衝撃だった。


全話見終わったあとに振り返ってみると、1話目は本当に軽いジャブ程度の内容だったのだと気付かされる。あれでもだいぶ衝撃だったのに。しかし2話目以降はそんな初回を嘲笑うかのように異常な話が増えていく。基本的に1話3部構成で、各部の話は関連性が低いのでテンポ良く進んでいく。ちょっと肌に合わない話があっても7〜8分で終わりさくさくと次の話に進むのでわりと大衆に受け入れられる器の大きさはあると言えるだろう。あらゆる突っ込みどころを先回りして潰していくナレーションの仕事ぶりも素晴らしい。予め妄想であると1話で宣言しているので、その後どんなナンセンスなエピソードが訪れても許容できる。その妄想ネタを利用して大風呂敷を広げまくった最終回のスケールの大きさは感動的ですらあった。最終回を見ると一応伏線とかあったんだなと気付ける。力押し一直線みたいなアニメなのにところどころ計算された真面目なネタを放り込んでくるところに良い意味で悪意が滲み出ている。猟師の高齢化による人手不足とか野生動物の食害とか時々妙に社会派なのが憎たらしい。


『さばげぶっ!』というからにはもちろんサバゲーをメインテーマにした作品なのだが、実際のところサバゲーはほとんどアニメを面白く見せるための道具のひとつとして利用されているだけだった。これが園川モモカの他人に対する態度と完全に重なっていたのも面白かった。なので最終回における謎の壮大なバトル・ガン・アクションもずっとギャグにしか見えなかった。しかし元々これは「ギャグとして受け取ってくれ」という意志のもとアニメ化されたであろうものなので、オチも予想できたし、そのオチも予想通りだったが面白かった。こういう「笑えるし安心できるギャグアニメ」というのは存在そのものが絶滅危惧種なので丁重に保護すべきだろう。おれはBD全巻購入予約したぞ!!!


あとこれは初めて太田雅彦のコメディ方面の才能が花開いた作品ではないだろうか、と思っている。ゆるゆり琴浦さん恋愛ラボも、シリアス方面の話は強度高かったのにギャグはどうにもやり過ぎ感があったりそら寒かったりしていまいちバランス取れてなかったのだが、『さばげぶっ!』はギャグに能力を全振りしたことが結果的に大成功に繋がったのだろう。今年の夏はこのアニメとろこどるのおかげで乗り切れたと言っても過言ではない。あと本当に続編が見たくて仕方ない。3年前から「これは長いこと付き合っていきそうな作品だ」と思えるものはなぜか夏に放送される。うさぎドロップ然りきんいろモザイク然り。この『さばげぶっ!』もおそらく何度も見返していくことになるのだろう。

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