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ガンダムビルドファイターズトライ

2014年秋アニメ 2015年冬アニメ 9.5

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アニメ界隈に「みんなが賞賛しているものを批判するおれ格好良い!!!」みたいなスタンスが蔓延していたのも今や昔。アニメがすっかり市民権を得た今では、皆が良いというものは良いと言うのが当たり前、終いにはまとめブログの意見を大衆の意見と思い込んでしまい尻馬に乗っかるニュータイプオタクがすっかり幅を利かせるようになった。前者と後者、どちらが良いのかなど決めることは出来ないが、まあ自分が良いと思ったものは誰が批判していようが良いと言い続けるし、某大手まとめブログは本当にクソなので絶対に閲覧しない。


そんなアニメ界隈の問題で思い悩むことなく、ただ純粋に見たもの全てを楽しめていた子供の頃に感覚を戻してくれるアニメが、今でもまれに出現する。子供の頃は夕方にやっていたジャンプ・サンデー原作のアニメをよく見ていて、ぱっと思い付くのは『シャーマンキング』とか。アニメは途中から原作と全然違う展開で、友人は酷い酷い言ってたんだけど、おれはあれもあれで好きだった。オリジナルでもしっかり大会進めていたし(オリキャラだと白蛇が持ち霊のおっさんが良かった)。なんだかんだでおれはシナリオがしっかりしてさえいれば、どんなオリジナル展開でも許容できるらしい。


オリジナルといえば『ガンダムビルドファイターズトライ』は「ガンプラがテーマ」という前提以外、ガンダム関連の縛りが何ひとつないので、ガンダムファンから見たら許容できないオリジナル作品なのかもしれない。確かに主人公はガンダムの知識を全く有していないし、「次元覇王流」とかいう謎の拳法でガンダムの機種とか性能とか関係なく勝ち進んでいく。それは長年のガンダムファンからすれば許されないことなのかもしれない。だがしかし、このアニメが夕方6時に放送されている子供向けのアニメだという事実を思い出して欲しい。おっさん向けに作られた『Gのレコンギスタ』とはわけが違う。最初から勝負している土俵が違う。「より多くの子供たちをターゲットにする」という目的があるのなら、今までのガンダムに寄せるよりもむしろ、ガンダムを全く知らなくても楽しめる作品を生み出すべきだ。


そういう意味でこの『ガンダムビルドファイターズトライ』は1期同様大成功している。ガンダムを知らずに楽しめるし、知識があればより深く楽しめる。なにより、1クール目は「毎回面白い」のに加えて「常に前回を上回る面白さ」というのが本当に最高としか言いようがなかった。1話につき5回以上視聴しても全く飽きが来ず細かい仕掛けを楽しめた。アニメにもドラマにも必ず波が存在し、全ての回が同じレベルで面白いということはあり得ない。しかしガンダムビルドファイターズトライ(1クール目)は恐るべきことに「回を重ねるごとに面白さが増していく」という波を意識的に作り上げた。(全話面白いことを前提として)2話は1話より面白く、3話は2話より面白い。こんなことが可能だとは思いもしなかった。緩急もクソもない。荒技も甚だしいがそれを当然のように成し遂げている。


2クール目は残念ながら波があったものの、全体的な面白さは全く落ちていない。大会優勝が最終回と見せかけておいて、本当の最終回はみんなでただ単純にガンプラバトルを楽しむ話というどんでん返しも良かった。OVA的なやりたい放題の内容で(深夜アニメ的なノリでフミナのプラモデルを作ったりセカイをめぐってヒロインが修羅場になるあたりも良かった)、これだけやっても作品の芯が一切ブレないのは今までの積み重ねがあってこそだ。今まで凄く真面目な話をやってきたからこそ、最後の最後で「ガンプラバトルって楽しいんだぜ」と言ったことに説得力がある。そう、楽しけりゃなんだっていいのだ。楽しけりゃ最終回で壮大なギャグをかましたっていい。


全話素晴らしいのだけど、とりわけ22話が本当に良くて(1期の時も22話あたりがめちゃくちゃ良かった気がする…)、これを名作と言わず何を名作と言うのかと人類に問いただしたい。1期のアイラ・ユルキアイネン回も問答無用の傑作だったが、男臭さ全開のこちらもそれに匹敵する。己の全てを剥き出しにした、パワーとパワーのぶつかり合い、小細工一切無しの戦いは本家ガンダムよりも熱いのでは、と思うほどの白熱ぶり。小難しい背景や設定が無いからこそ、こういう限界まで無駄な要素を削ぎ落としたシンプルで熱い戦闘が描ける。これこそ古き良き少年漫画の王道だ。


1期が凄すぎたのでこの2期はさすがに1期は超えられないだろう…と考えていた時期があった。今となっては懐かしい。蓋を開けてみれば1期を更に上回る出来映えで、毎回毎回感動しきりの2期だった。そしてなにより、カミキ・ミライという素晴らしきヒロインとの出会いもあった。正直言うと半分はカミキ・ミライのために見ていたと言っても過言ではないし、カミキ・ミライがいたおかげでおれは躊躇なくBD-BOXを購入できた。精も魂も尽き果てて帰宅した日、録画したGBFTに出ているカミキ・ミライを見ると人生も捨てたもんじゃねえなと思えたし、その夜は決まって酒が美味かった。フミナ先輩も素晴らしかったのだが1人選ぶとなるとやはりカミキ・ミライだ。カミキ・ミライのような姉がほしいだけの人生だった。