ハロー!!きんいろモザイク 第01話 「はるがきたっ」

帰ってきた。約2年の時を経てようやくきんいろモザイクが帰ってきた。もうそれだけで他に望むことはないのだが、これがまた1期の雰囲気を踏襲しつつ原作に沿った素晴らしい導入で、ああやっぱりきんいろモザイクを信じていてよかったと思うし、信じる者は救われるのだ。

新キャラクタである久世橋先生や、2期から本格的にメインに昇格した松原穂乃花も全く違和感なくきんいろモザイクの世界に馴染んでいる。久世橋先生なんかはきんいろモザイクの世界には珍しいタイプのキャラなのだけど、カレンの昔の姿と重ねることでこの世界の住人の一人であることを明確に意識付ける。久世橋先生との交流を描いたAパートは2期の始まりを印象付けるとともに、1期のおさらいをさり気なく盛り込みつつ「忍とアリスが別々のクラスになってしまった」という寂しさをこちら側に植えつける。

それを利用してBパートでは寂しさからくる不安、不安からくる「忍のことをもっと知りたい」という衝動に突き動かされるアリスの姿が中心になって描かれる。元々ミステリアスな面もあった忍の存在が、ここでは一層神秘性を帯びることになる。子供の頃から世界平和について思いを巡らせるなどの一面、友人の変調を素早く正確に察知して話を聞いてあげるといった一面、アリスへ溢れんばかりの愛情を注ぐ一面、それらが陽子、綾、アリスの視点を通して描かれる。別々の視点から映しだされた忍の姿が、最終的に「言葉で人をつなぐために翻訳者を目指した」という本人から直接語られる一面に収束していく(その後、「本当はアリスと出会ったホームステイが決意のきっかけだった」という心の声がアリスとのつながりを証明する)。この手際が実に鮮やかだった。

しかし今現在、忍は英語を初歩的な段階までしか習得していない。だから言葉でつながる前に忍はアリスと手をつないでいる(Aパート、エビドリアみたらし団子添えのあたり)。身体的な距離はいくらでも縮まるのに精神的な根っこの部分では縮まっているのかどうか分からない。そうした不安感がBパートにおける忍ファンクラブの活動につながってくる。このアニメ1話が素晴らしかったのはそうした「つながり」を意識して、きんいろモザイクの原点を思い起こさせる点だ。つながりを持てなかった久世橋先生は烏丸先生との対話をきっかけに自らつながりを持とうと努力するし、カレンはその姿を見て自分の昔の姿と重ねる。

メインキャラを誰一人脇役にしたり置き去りにすることなく、1期で作り上げた世界を壊すこともなく、それでいて1期と同じではないとしっかり伝わる最高の1話目、ほぼ完璧なスタートだったのではないだろうか。OP曲もED曲も最高だった。正直再びきんいろモザイクが放送されるというだけでおれは涙ぼろぼろ流していたし、1話目を最初に視聴した時は終始涙で画面が霞んでいた(2回目に見た時はアリス・カータレットのことしか考えられなかった)。理屈であれこれ語ったりすること自体が無粋であるような気もするが、この止め処なく溢れだす行き場のないおれのエモーションを発散するためだけに今後も定期的に『ハロー!!きんいろモザイク』の雑感を書き散らします。これから3ヶ月は『ハロー!!きんいろモザイク』のために生きて働くことができる、そう考えるとおれは今人生最後の絶頂期に達しているのかもしれない。