きんいろモザイク Episode 11 「どんなにきみがすきだかあててごらん」

  • 日本語と英語という言葉の噛み合わなさをギャグとして、相互コミュニケーションの齟齬から生じた感情をシリアスとしてそれぞれ昇華し独立したものではなく一つの話として纏め上げた、きんいろモザイクというアニメの中でも特筆して完成度の高い話。原作より構成が上手かったので2期は原作というワンクッションを置かずに作者が描いたものをそのままアニメの方に渡して作るみたいな方法論でも充分成立すると思う。
  • 1話においてアリスが「シノに伝えようとして」英語を話しているのに対し、今回は「シノに伝わらないように」英語を話しているところを起点として両者の関係性が1話と11話で対比できるようになっている。互いが日本語で会話出来るという対等な状態の中で再びシノがわからない言語を用いることで一方的にコミュニケーションを遮断、しかもある程度の語学力があれば理解できる台詞なので全面的にアリスに落ち度があると決めてかかることもできないという保険の掛け方がやけに賢しい。
  • 一方で前半Aパートのクリスマス会は今までのきんいろモザイクの日常回をそのまま継承した手堅い内容で、キャラ同士の台詞がやけに空寒いのは冬という季節に掛けているのだとわかる。アリスが天然のドSであるシノを未だに強く信頼してる理由もここらへんで感じ取れるし最終回前にやっておく話としては上々。
  • 全くもって意味のない(正確には意味があるけれど和訳文がほとんど直訳なので意味が通じてない)、しかも堅苦しい英文をアリスが感情の無い顔で淡々と読み上げる様子が一番面白い。前述のように下に和訳が字幕として出てくることそれ自体がギャグとして作用してるのは字幕付きの洋画なんかに新しい可能性を生み出している。今までキャラクタの表情を豊かに描いてきた反動で、今回ほとんど硬直していたアリスの表情にギャップとしての面白味が生まれる。