輪るピングドラム 19話

アバンで両親と普通に会話してる初っ端から衝撃だったわけたがこれはまだ面白くなるのか。終わりに向けての加速度が半端ない。

ということはつまり前回で陽毬が殺されそうになっているにもかかわらずあれだけ必死に「知らないんだ」って冠葉が言ってたのは嘘だったってことで。あれ演技とは思わんよな普通。

で、やっぱり陽鞠はこどもブロイラーの出身だった。初めてこのアニメでこどもブロイラーが出てきた時に抱いていた予測が現実のものとなった。9話のベルトコンベアーに「こども」と印字されていたので、そこの伏線も回収した形になっている。つーか陽鞠が実の兄弟じゃないとしたらもう出自はそこくらいなもんだしなー。

多蕗が桃果に救ってもらったように、陽鞠は晶馬に救ってもらったということで、必然的に陽鞠の運命の人は晶馬ということになる。晶馬と苹果が台所に立っていたときに陽鞠が抱いた感情は兄を取られるという気持ちではなく、運命の人を取られるという不安からくる感情だった。

こどもブロイラーにいた時の陽毬の記憶が完全に封印されていたのだとしたら、誰がそれを行い得たか、という問題もまた浮かんでくるが、今回陽鞠が自力で思い出せたということは、もしかしたら陽鞠自身が記憶を意図的に封印し、その存在自体を自分の中から消していたのかもしれない。幼少期の自己防衛反応の一種として。あるいは真砂子のパチンコ玉で。

冠葉は血の繋がりがないから陽毬を愛してしまう自分を止められない、けれど晶馬と陽毬の関係を知ってるから家族として二人を守る道を選んだということならあまりに報われない存在なんだが、それを知っててプリクリが冠葉を利用したのだとしたらまた事態が反転するかもしれない。「運命なんか嫌いだ」という1話での冠葉の台詞は痛いな。

というかまず、プリクリ=陽毬ではなくて、プリクリ=桃香の可能性が高い。晶馬に分け与えられた果実(=リンゴ)を受け取ったことで桃香の意思が陽毬のなかに潜在していて、死に瀕した際にペンギン帽をかぶることでそれが発現した、と考えたほうが、プリクリの目的に納得がいく。そしてサネトシのゲームの対戦相手はプリクリ、つまり運命の乗り換えができる桃香であったと。ゲームのキーが日記であったため、サネトシは日記を燃やすというルール違反が出来なかった。ということはサネトシの目的は運命の乗り換えを防ぐことだろうなのか。

ペンギンもマスコットとしての役割を忘れずに頑張ってくれている。我々視聴者は彼らに最大限の敬意を払うべきだろう。このドス黒いアニメの唯一の光。ああ光といえば、デコを光らせる演出がついに陽鞠と真砂子との対話になっててわらた。

やはり終盤に近づくにつれて次々と伏線が回収されていくこの展開はワクワクするね。それが極めて理想的な形で行われてるぶんピンドラに対しての期待も好感度も高い。あとは、今回の冒頭で出てきた高倉家の両親がやろうとしていること、サネトシの目的と正体、日記の効力、ピングドラムの正体…あたりが重要度高い謎か。残り僅かな話数でこれら全てを回収してきっちり纏めてくれたらもう文句なし。今年下半期最高のアニメになりうるかもしれない。