さくら荘のペットな彼女 #23 「卒業式」

  • まあこれはこれでアリだと思います。卒業式といえば数多くの学園アニメが挑んてきた史上最大の難関であり、壁を乗り越えて傑作を生み出した作品もあれば敗れていった作品もある。卒業式というイベントは今までの描写の積み重ねとその密度の濃さが問われる、つまりこれまでのストーリーがしっかりしていないと成立しないものなんどけれど、このアニメの惜しいところはその今までの描写が上手くないので本来感動すべき場面で感動できない。画面の向こうのキャラクタには沢山の思い出があってもおれたち視聴者にはその思い出がうまく共有されていないからだ。
  • 今までただの馬鹿キャラとして処理されてきた美咲に卒業式代表を託すというのは物語としては間違っていない。仁ではなく美咲が今までの思い出を語ることに意味がある。最終的にさくら荘の取り壊し撤回を嘆願することも含め、それができる力を持っていたのは美咲だけだった。
  • なんか最後のさくら荘コールは不良の卒業式っぽくて微笑ましく見ていたんだけど(こういう素で気持ち悪い話をさらっと書けるあたり岡田麿里は本当に性格悪いんだなと実感する)、単純に大人が悪で子供が善という図式にしたのはちょっと違和感がある。さくら荘擁護側の住人が千尋先生だけってのはさすがになー。
  • しかし去年から今までずっと見てきただけあって次回が最終回ともなるとやはり寂寥感がある。卒業式をあえて最終回にしないところをみるとやっぱりそうした寂しさを醸成する意図があるようだ。