とある科学の超電磁砲S #9 「能力追跡」

「最高だった」とだけ言って終わらせることも可能なわけですがいかに最高だったかということを延々と言って終わらせることも可能なわけで、しかし例を挙げればキリがなく全て切り捨てれば味気ないのでやはりいついかなる時も中庸の精神を重んじるべきだという結論に達しました。

何が良かったかと言われると答えは無数にあるんだけどまずは前回のフレンダ戦からの連続性をしっかりと持続してる内容の強度の高さ。アニメって一週間の時間が空くと大概前回の内容とか多かれ少なかれ脳味噌から消えてるわけで、それをアニメ側(主に脚本)がどう対処するか未だに明確な解決策が見出されてないんだけど(アバンで前回のあらすじ解説という手法は除く)、このアニメの今回の話に関しては本編に入った瞬間に前回の内容がほぼ全て頭の中に浮かび上がる。

次に戦闘におけるカメラワーク。恐らくコンテの時点で相当計算されているんだろうけど(関係者がそう発言している)、演出がそこに上乗せされて美琴が立体的に移動できるのに伴い映像の見せ方も戦闘力の差を見せつける平面的な前回の戦闘から空間を生かした立体的な戦闘へと移行している。フレンダと美琴の戦いは今回のための前フリだったとさえ勘繰れるような見せ方の違いである。さすが戦闘に関しては最強クラスに近い紺野直幸がコンテ切っただけのことはある。今年見た戦闘シーンではこれが暫定1位。

そして特筆すべきは前回から散々言ってるようにほとんどイメージ通り完璧に映像の中に具現化した麦野さんという存在であり、原作より馬鹿っぽく描かれてるフレンダとの対比により一層その存在が明確な意思を持った人間として現れる。仲間に優しさを見せる姿とイカレてしまう一歩手前の姿がイコールで結び付いてしまうのはキャラ描写の妙。麦野さん原作以上に優しそうに見えて幸福指数が急上昇したんだけどもうあの優しさは見られないのでつらい。

唯一の欠点は布束のパートが随所に挟まれることで戦闘の方のテンポが落ちてしまうということ。これを今回でなく前回の時点で処理していれば今回はほぼパーフェクトに近かった。布束のパートは根本的にアイテムとの戦闘に関連してはいないのでフレンダ戦で回収しても問題はなかった。

まあそんな欠点を補って余り有る程麦野さんの勇姿を拝むことが出来たし戦闘シーンマジで凄かったし話数単位で見ても上半期トップクラスだった。これで次回のコンテ演出も紺野直幸続投だったら相当凄いことになるだろうけどローテ間隔決まってるだろうから次回は多分違う人がやるんだろうな。