サムライフラメンコ #01 「サムライフラメンコ、デビュー!」

同じノイタミナでもガリレイドンナとは違ってこちらは単純明快なテーマを最初から提示してきており、それに従って最後まで話が進んでいく。難しいことを考えずにスッと頭に入ってくるのはかなりの長所だろう。ヒーローという使い古されすぎて手垢のついた要素をこれでもかと前面に押し出してくるのに押し付けがましさというか説教くささのようなものを感じないのは主人公の人柄によるところが大きい。ただの正義漢気取りでもなく、かといってただの馬鹿でもない、絶妙に間隙を縫ってくるこのキャラメイキングは手放しで評価できる。あとカレー好きなのもよい。

主人公がそこまで売れてるモデルでもないのに高級マンションの上層階に一人暮らししてるということにかなり違和感は感じるものの、そういう違和感を吹き飛ばしてしまうくらいのストーリーのスピード感、主人公と相棒(警官)との軽妙な掛け合い、全てが計算されているのに計算ではなく自然な流れだと思わせられる力も備わっている。事前情報を見て勝手に特殊能力をもった人間が特殊能力をもった敵と戦うみたいな王道ストーリーを想像していたんだけど、普通の主人公が世の中の理不尽的な形のない悪、あるいは有り触れた悪(酔っ払いとか素行不良の中高生とか)と戦うという捻った王道だった。

かなり際どいラインでギャグとシリアスの間を行き交いしているんだけど、それが不安定だと感じることもなく、ギャグっぽいところはあくまでギャグっぽく、真面目なところは真面目に描いているので話にメリハリができている。そこまで真新しいことはやってなくて、どちらかというと当たり前のことを当たり前のようにやっているだけなのに見てるだけで引き込まれるような力がある。ラストで主人公が中学生たちに言った台詞も、単純な説教でも精神論でもなく現実に根ざした言葉を突きつけるというどうしようもないリアルさがよい。この世界はリアルに近いからこそ主人公は自分が特別な能力をもつヒーローにはならないということを自覚していく。

EDでアイドルが歌ってるような曲が流れたんだけどこれは今後出てくるキャラということでよさそう。ED終了間際にサムライメンコの活躍がダイジェスト的に流れるのも面白かった。内容はこれから厚くしていけばいいしこれから伸びる余地はまだまだある。今期は不作かと思われたがまさかの救世主が2作同時にノイタミナから現れるとは思わなかったな。