銀の匙 第七話 「八軒、ギガファームへ」

  • この作品が最初からずっと現在農業の直面している問題だけを切り取って描いていたなら社会派漫画として成立したんだろうけどそれはそれで気持ち悪そうだし、ひたすら家畜とかの食う食われる命について描いてたら無菌室に丸一日放置されるみたいな居心地の悪さがあっただろうから、両者を混ぜて学校という浄化要素で一つに束ねるという方法論は間違っていない。
  • 機械の発達に依存した効率重視の農場経営(ロータリーパーラーとか)の中で牛の出産とか原初的なものを見せ付けることで、無機質な機械の印象を拭って合理的な運営方法と人間的な感情行動を折衷している。ここから作者は農業という大枠の中で分化している経営の一部を取り上げて批判するという意図は無く、農業全体に起こっている問題を八軒という農業に疎い人間の目を借りて客観的に提示する、というのが目的だとわかる。
  • 有頂天家族において教授が「好きだから狸を食べる」という理論は人間が肉を食べるそれと結び付いているし、そう考えると銀の匙は捕食者目線なのに対して有頂天家族は被食者目線の話なんだとわかるので両者が同時期に放送されてるというのは運命的でもある。