K 1話

複数人で脚本書いてるということがよく伝わってくる内容だった。この手の話を一人で書ける成田良悟はやはり特殊な才能があるということか。


映像というよりも雰囲気に拘る美意識のようなものを随所に感じさせる1話だった。テーマカラーは恐らくブルーで、全体的にシックかつスタイリッシュな統一感をもたせ、群像劇を意識しているかのように視点が切り替わるせわしないストーリーの弱点を補っている。ゴール地点はおろかスタート地点がどこかすらわからないような内容だったが、ある地点に向けて徐々にベールを脱いでいくタイプの作品なら(6話目で全貌を明かし、折り返しとなる7話目以降から物語が加速するという作品もある)この出だしもありだろう。


しかしどうにも1話目としてはかなり掴みが弱い。インパクト重視の昨今においてはかなり異端といえるほど「話の雰囲気と外枠作り」に終始していて、いったいこの外枠はいつ固まるんだろうかという不安がある。アニメの1話目の基本パターンとしてはキャラクタ紹介や世界観設定の説明、次回以降も継続して視聴させるためのフックとなるような引きなんかが求められるんだけど、このアニメはそれらほぼ全てをすっ飛ばして、上述のように物語を形成するための外枠をひたすら固めることと「どんなアニメなのか」という雰囲気を作ることに1話まるまる使っている。完全に「ついてこれるやつだけついてこい」というスタンス。時代に逆行するかのような、視聴者目線ではなくクリエイター目線で作られたアニメ。


ここがいつの時代のどんな世界なのかとか、キャラクタの通う学校とか、登場人物たちの勢力図とかがまるで見えてこない1話目というのはかなり久々に出会ったのだけど、戦闘というか抗争するところの演出は上手かったし、コンテをかなり練り上げているためか基本的にキャラクタの立ち位置の構図が綺麗なので、映像としての楽しみはあると思う。問題はストーリー重視の人が置き去りにされていることか。取り敢えず6話目から本気出すらしいのでそこまでは見てみる。