新世界より 1話

1話目としてはかなり良い出来だった。世界観とテーマの提示、充実した内容、主要キャラ紹介、次回以降も視聴継続しようと思わせる構成、映像から伝わってくる雰囲気や効果的な劇半など、一見しただけでもとても凝った作りのアニメだとわかる。こういったSF寄りの作品に必要不可欠な主題に関わる伏線をしっかり張っているし、何より自信をもって紡がれていく独特な世界が(何一つ説明されていないのに)理性的でありながら狂気的に描かれていて、神話的というより人間のもたらす黒さを感じさせる。


基本理念はSFでありながらも貴志祐介の得意とする得体の知れないホラーの要素も混じっていて不安を感じさせるし、主役である早季の視点から見渡される物語には闇に覆われている部分も多く、個々人のもつ能力などの説明もまだないので、掘り下げられる部分は山ほどありそう。2クールあるので余裕をもって丁寧に様々な部分を描写できるだろう。


「悪鬼」の部分の演出がすごく感覚的で面白かった。氷菓とはまた違った演出方法なんだけど、こちらはより先鋭化してるというか、ダイレクトに視覚に訴えてくるので恐怖心みたいなものを植え付けてくる。その他にも早季の母親が「もう子供は失いたくない」と叫ぶシーンも良かった。


とにかく物語に引き込む力が尋常じゃなく強いので、この水準を維持出来れば円盤買えると思うくらいの期待を持たせる1話目だった。