ガールズ&パンツァー 第8話「プラウダ戦です!」

絵コンテ:内藤明吾・山内則康  演出:政木伸一  作画監督:五十内裕輔・渡辺奈月  メカ作画監督:須藤晋

どちらかというとあまり良いイメージのなかった生徒会メンバーをここで掘り下げるという構成の絶妙な上手さに唸らされた。完全に「ここしかない」と思わせる場所に最高レベルの完成度を誇るエピソードをもってこられるとこんなにも物語が輝いて見える。まるで文句のつけようがない。ストーリー重視の作品は予想を良い意味で裏切ってくれることが理想だけど、ガルパンのようなキャラクタ重視の作品は理想が100パーセント実現されることが望ましい。


風紀委員のソノコが新たに加わって味方側も面白いことになり、同時に敵側のプラウダの隊長カチューシャもかなり個性剥き出しにしたキャラクタで、敵味方ともにキャラクタが立っているという理想的な状態での戦闘となっている。こうなるともうストーリーが多少雑でも揺るぎない面白さが確約されているようなもんなんだけど、ここにしっかりとしたストーリーをのせてくることで足元をさらに固めより先へと飛躍を遂げる。


雪上での戦闘ということで絵的には情報量が少なくなるんだけど、その代わりに戦車の中に乗っているキャラクタたちの描写を増やすことによって密度の濃さを感じさせるように作られている。序盤に敵を簡単に倒せたと思ったら後半一気に反撃されて危機に陥るという何度も観ている王道ストーリーも、そのストーリーを動かすキャラクタによっていくらでも面白くなると証明された。雪上というフィールドを最大限に生かした演出や絵作りも画面に引き込ませる力を有している。


みほに対するそれぞれのキャラクタの接し方の違いが面白かった。あんこうチームの面々がみほのことを第一に気にしているのに対して、生徒会メンバーは学校の存続を気にしていて「トーナメントで勝つためにみほを焚き付けている」という印象が強い。学校の存続がかかっているからこそ生徒会メンバーはみほにきつく当たらないといけない場面もあり、初回から抱えていた不信感がここにきて一気に解消される。このフラストレーションの解放のタイミングはやはり素晴らしいと言う他無いですね。