琴浦さん #03 「嬉しくて、楽しくて」

  • おれがこのアニメに対して恐れていたことは2つあって、1つはストーリーがワンパターンになってしまうこと、もう1つは感動路線のネタが序盤で無くなってひたすらラブコメに徹してしまうことである。ストーリーが「毎回最終回!」みたいな感じだとさすがに胃もたれするし捻りが効きづらいぶん「またこういうネタかよ」という視聴者のフラストレーションが溜まっていく。あるいはこの序盤で体力使い過ぎて、中盤以降ひたすら太田雅彦の得意分野であるギャグ中心のラブコメにもっていかれて「序盤とのネタの落差を感じてしまう」という危険性もある。
  • 上述のこともあって、間違いなく一つの転機を迎えるであろう3話目には絶大な不安が付き纏っていたわけだが、結果として感動もギャグもラブコメも織り交ぜたうえに最後でそのどれにも当たらない新しい地平を開拓している。ある程度は予想の範囲内というか、これが最適解だろうなーと考えていたんで納得のいく部分はあったんだけど最後の展開だけはさすがに読めなかった。安心感と意外性を兼ね備えた、考え得る中で最も素晴らしい3話目でした。化けたというより正常進化。
  • 「相手の心を読める」という能力を、他人に悟られずに会話するための手段としているのがラブコメにおける「秘密」というファクターを生かしていて非常に上手いと思います。特に部長から琴浦さんに対する言葉の伝達手段としてはとても優秀で、真鍋のいる場所でも部長から一方的に考えを琴浦さんに伝えられるという利点がある。
  • 琴浦さんが悪漢たちに襲われるという超絶王道展開にせずに真鍋を襲うという展開にしたのは意外性あって良かった。しかしヒヨリをそこまで悪役にする必要はなかったのではという感じもする。人の心の醜さなんてのは誰もが持ち合わせてるもので、それに焦点を当てるということは別に「悪役」を出す必要はない。人間は誰もが悪役になれるからである。
  • 琴浦さんは音痴という設定はいずれ伏線になるのかなーと思って見てたんだけど、このアニメは基本的に伏線とか張らずにネタの一発一発の大きさに命賭けてるようなのでそういうことには気を配る必要はないのかもしれない。ゆるゆりとかは結構理論的に構築されてる感じがしたんだけどこのアニメはひたすら感情的に作られている感じで、そういう生真面目さみたいな部分に惹かれるところはある。
  • 鬼門である3話目をこのクオリティでくぐり抜けてきたということでもう安心感がすごい。この後にESP研究会の面子にヒヨリが加わることになればラブコメ路線でいくという予測も立つ。