ガールズ&パンツァー 第9話 「絶体絶命です!」

絵コンテ:水島努  演出:柴田彰久・橋口洋介  作画監督:竹上貴雄・KIM YONG-SIK・KIM SHIN-YOUNG

絶体絶命だった前回からの続きということでハードルが物凄く上がった第9話、予想を遥かに上回る出来で満足も満足、大満足でありました。ここまでやれるならもうどんな展開が訪れようとも絶大な信頼がおける。3話終了時点でBD全巻予約したおれの選択はやはり間違っていなかったのだ。


予想外だったのはギャグ寄りの描写が前半部分に多かったこと。あと上坂すみれのスペックを最大限に生かした配役は本当に(コメディという意味で)素晴らしかった。ただギャグ寄りの描写の積み重ねがあったからこそあんこう踊りが「ただのギャグ」ではなく士気を上げるためのファクターとして機能していた。桃ちゃんがわりと自己中なキャラクタで残念さが際立っているんだけど、それをかき消すタイミングでのあんこう踊りだったので桃ちゃんにあんまり嫌悪感抱かないようにできている。


前半部分はギャグをやっていたこともあり、後半ではその反動であるかの如く戦車同士の激しい撃ち合いがメインになっている。前回はロシア側が戦略を練ってきたのに対して今回は大洗女子側が戦略を練ってきていて、やはり戦略は重要であり知将のスペックが勝敗に直結するなーと思い知った次第。そこで前回大洗女子側がリーダーであるみほの指示に従っていれば勝てたんじゃないのという疑問が湧くもののそこはフィクション。むしろ戦車道未経験者たちの集いが2戦連勝できたということで調子に乗ってしまうのもわからなくはない。


あと後半5分のコンテが上手かった。さすが水島努といったところで、弾の撃ち合いと戦車の走行、キャラクタの会話を平行して描写、前回のように雪上という情報量の少ない絵ながらもキャラや戦車の描写を緻密に重ねていくことで物凄く密度が濃く感じる。ガルパンは戦車の描写や戦略なんかはかなり現実に即しているのに、演出やコンテはアニメ的なのが面白い。生徒会チームの戦い方はリアルなのに戦車の動きが現実離れしているというギャップがかえって熱さを生み出しているという素晴らしさ。水島監督やはり覚醒してるとしか思えない。


今回はキャプテンであるみほを中心に大洗女子学園側のキャラを満遍なく掘り下げることに成功していて、その完璧さに思わず笑ってしまったほどストーリー構成が素晴らしかった。今までも複数キャラの掘り下げはやっていたけど今回は全員同時。20人近くいるキャラクタ全てを僅か25分で掘り下げるという神業だった(以前逃げていた1年生チームが逃げずに頑張っていたシーンで泣きますよね)。同時にその多くのキャラクタを纏めているみほのリーダーとしての資質の高さが目立ったエピソードでもあった。ロシア側はカチューシャさんが基本的に寝るか飯食うか高笑いするか叫ぶかの行動しか取らないので、右腕として活躍しているノンナのハイスペックぶりが際立つことになった。ダージリンさんは緩和剤。


まあ勝敗はもう予告によって分かってしまっている(これがこういう作品の悲しい宿命である)ので、次回はクラスメイトたちの掘り下げをどんな風にやってくるのかという期待をですね。